いよいよ令和6年度が開始します。
実は、令和6年度の年金額が引上げになることをご存知でしょうか。
国民年金（老齢基礎年金）の満額は6万8000円。夫婦2人分の標準的な年金は23万483円と公表されました。
特に厚生年金における引上げ幅が大きく、同一条件の夫婦では前年度より6000円以上の増加となります。
しかし、単純に喜べない注意点もあるのです。
今回は、令和6年度に引き上げられる厚生年金や国民年金の受給額例を紹介。記事の後半では、増額になるにも関わらず「単純には喜べない理由」について解説します。
高齢者が受け取る年金や老後資金について、詳しく見ていきましょう。
1. 令和6年度の年金が増額へ。2年連続でプラス改定
厚生労働省によると、令和6年度の年金額の例は次のとおり決定されました。
- 国民年金（老齢基礎年金）：6万8000円（1人分※1）
- 厚生年金：23万483円（夫婦2人分※）
※1昭和31年４月１日以前生まれの方の老齢基礎年金（満額1人分）は、月額6万7808円（対前年度比＋1758円）です。
※2平均的な収入（平均標準報酬（賞与含む月額換算）43万9000円）で40年間就業した場合に受け取り始める年金（老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金（満額））の給付水準。
厚生年金の23万483円は、夫婦の合計額です。
上記の注釈があるとおり、「40年間会社員として月額43万9000円を稼いだ夫の厚生年金と国民年金」と「40年間専業主婦（もしくは自営業など）だった妻」の夫婦が想定されています。
ちなみに、2022年度（令和4年度）は21万9593円、2023年度（令和5年度）が22万4482円でした。これにより、2年連続のプラス改定となります。
また国民年金の満額も、2022年度が6万4816円、2023年度が6万6250円、2024年度が6万8000円と増額していますね。
※ただし、2023年度の既裁定者（68 歳以上の方）の老齢基礎年金（満額1人分）は、月額 6万6050 円（対前年度比＋1234円）。
では、実際の受給額はどれほどだったのでしょうか。
今出ている資料の中で最新である「令和4年度末時点」での受給額平均をみていきましょう。
2. 国民年金と厚生年金の受給額は平均でいくらだったか
厚生労働省が2023年12月に公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、実際に支給された国民年金と厚生年金の平均額をグラフで見ていきましょう。
2.1 国民年金（老齢基礎年金）の平均受給額
〈全体〉平均年金月額：5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額：5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額：5万4426円
平均は男女ともに5万円台です。
2.2 厚生年金（老齢厚生年金）の平均受給額
〈全体〉平均年金月額：14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額：16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額：10万4878円
※国民年金の金額を含む
全体の平均額は14万円台ですが、男女で約6万円もの違いがあります。
実は、厚生年金は個人差・男女差が大きいことが一つの特徴です。厚生年金の個人差・男女差については記事後半でも深堀りします。
実際に支給された年金額がわかったとこで、「なぜ年金が増額になっても単純には喜べないのか」その理由を2つ見ていきます。
