2. 住民税非課税世帯が必要な手続きは?

住民税非課税に該当すると判断したときに、自身でなにか手続きは必要になるのでしょうか。

結論からいうと、住民税非課税世帯になるための特別な手続きは不要です。

自治体が前年中の収入(所得)をもとに住民税を計算・決定しているため、非課税世帯に該当するのであれば自治体が判断して住民税非課税の世帯と認定します。

ただし、所得の申告がなければ自治体が把握できないため、確定申告や住民税申告等の手続きは必要になりますので注意しましょう。

3. 「住民税非課税世帯」への優遇措置や給付金の金額は?

住民税非課税世帯は住民税を支払う必要がありませんが、それは所得が低い世帯が該当するためです。

こうした世帯を支援するため、日本にはさまざまな給付金や助成があります。

3.1 幼児教育・保育の無償化

3~5歳児の幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が無料となる制度がありますが、住民税非課税は0~2歳児の幼児教育・保育も無料となります。

また、副食費等を無料にする自治体もあります。

3.2 大学無償化(高等教育の修学支援新制度)

大学などの授業料や入学金が、免除もしくは減額される制度もあります。

さらに学生生活を送るための生活費として、日本学生支援機構(JASSO)から給付型奨学金を受け取ることもできます。住民税非課税世帯の学生は支援額が満額となります。

3.3 介護保険料の減免

介護保険料は、原則として40歳以上のすべての人が加入し、保険料を納めなければなりません。

この保険料率は住民税の課税状況などに応じて段階が設けられいますが、住民税非課税世帯は保険料が減免されるという優遇措置があります。

3.4 国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料の減免

国民健康保険料には所得に応じて負担する所得割額と、加入者全員が負担する均等割額があります。この均等割額は、所得と世帯人数に応じて軽減されます。

国民年金保険料は住民税が非課税の人は、原則として、申請をすれば全額免除になります。

また、高額療養費の自己負担額も減免されるという措置があります。

そのほかにも自治体に応じてさまざまな支援を行っているので、気になった方はお住いの自治体ホームページをご確認ください。

3.5 住民税非課税世帯に対する給付金

住民税均等割非課税世帯や2022年1月から12月までに家計急変のあった世帯を支援することを目的に実施された給付金が「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」です。

2022年には電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金として、1世帯あたり5万円が支給されました。

そして2023年にも、「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援給付金(名称は自治体によって異なります)」として、1世帯あたり3万円が支給され、これに加えて1世帯あたり7万円の給付が決まったため、2023年度の合計給付は10万円となりました。

対象世帯には3万円給付がなかったため、10万円が支給されます。

こうした給付金については、今後も新たな施策が発表されるかもしれません。

詳しくは自治体のホームページや窓口で確認してみましょう。

4. 2024年6月からは課税世帯も!一人あたり「4万円」の定額減税がスタート

物価高により生活が苦しいのは低所得者世帯だけではありません。

2024年6月には、課税世帯に対しても1人あたり4万円の「定額減税」が行われます。

年収2000万円超の高所得者世帯は対象外となりますが、所得税と住民税を4万円以上納税している所得層については1人あたり4万円(所得税3万円・住民税1万円)の定額減税が行われます。

なお、所得税や住民税の納税額が少なく、減税しきれない所得層については、減税額との差額が1万円単位で現金給付されます。

給付金も減税も見逃さないためにも、自治体のホームページや最新の情報を常にチェックしておくようにしましょう。

5. まとめにかえて

今回は住民税非課税世帯について、その年収条件や助成制度について確認してきました。その他にもいろいろな「税金」がかかる場面があるので、まずはご自身がどんな「税金」を負担しているのか確認してみましょう。

負担が大きいなと感じた方は、iDeCoやふるさと納税、生命保険料控除などの税制優遇制度もあります。

まずは皆さんが「税金」に対して関心をもち、調べてみることによって意外なメリットが出てくるかもしれません。この機会に、まずは知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

菅原 美優