額面の年収から実際受け取る収入の差を見て、意外と引かれる税金や社会保険料が大きいと実感した方も多くいるでしょう。昨今、NISAやiDeCoが徐々に普及し始めたことにより、皆さんの周りでも「税金」という言葉をよく耳にするようになったのではないでしょうか。

世間では低所得世帯の家計を支えるために、住民税非課税世帯へ向けて「7万円」の、物価高騰緊急支援給付金の準備が続々と進められています。

住民税がかからないことや給付金の対象になることに「うらやましい」と感じられた方もいるかもしれませんが、住民税がかからないということは所得が低いということです。

今回は住民税非課税世帯について、その年収条件や助成制度について説明していきます。「住民税非課税世帯」とはどのような世帯が該当するのかも見ていきましょう。

1. 「住民税非課税世帯」とは?誰があてはまるのか

住民税とは地方税の1つで、所得割と均等割から成ります。

  •     所得割:前年中の所得に対して課税される
  •     均等割:個人に均等に課税される

「住民税非課税世帯」とは、一定額以下の収入などを理由として、都道府県民税と市区町村民税の合計で成り立つ住民税が課税されない世帯のことです。

これは世帯員のうち誰か一人が住民税(所得割・均等割)を支払わないのではなく、世帯員すべてが住民税を支払わない世帯であることを指しています。

ただし、そのこまかな条件は自治体によって多少異なります。ここでは参考までに、東京23区の「所得割」と「均等割」が非課税になる条件を見ていきましょう。

  • (1) 生活保護法による生活扶助を受けている方
     
  • (2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
     
  • (3) 前年中の合計所得金額が下記の方
    <同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合>
    35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
    <同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合>
    45万円以下

目安として、前年の合計所得金額が45万円以下であれば、扶養家族の有無や人数にかかわらず非課税となります。

詳しい内容については、お住まいの自治体で確認してみてください。

例えば東京都板橋区の場合では、次のとおり提示されています。

パートやアルバイトの給与収入(複数の勤務先があれば、その合計の金額)が、100万円以下(合計所得金額45万円以下)の場合、住民税は非課税です。
また、前年中に障害者控除・寡婦(ひとり親)控除・未成年の適用があった場合、給与収入が2,043,999円以下(合計所得135万円以下)であれば非課税です。

引用:板橋区「住民税 よくある質問」

住民税非課税世帯には、住民税の支払い免除以外にもさまざまな優遇措置があります。

住民税非課税に関する手続きや、具体的な優遇措置について、次章からくわしくみていきましょう。