「エンディングノート」というと、終活で作成するものと思われがちですが、実は、大災害から日常の突発的な出来事まで、万が一の事態を生き抜くためにも役立つのがこのノートです。
3級FP技能士で遺品整理士でもある筆者が、引っ越しや新生活に合わせて作成しておきたいエンディングノートの内容と、災害時への備えをまとめてみました。
万が一の時に役立つ「エンディングノート」
エンディングノートは、次のようなことを大切なご家族や友人に伝えるためのノートです。
- もし仕事を続けられない状態になったとき、すぐに連絡する必要がある勤務先や取引先など
- もしご自身が意識不明になった場合、どのような医療を受けたいか
- 自分の意思を伝えられない状態の場合、どのような介護を受けたいか
- 銀行口座や保険の加入状況、クレジットカードの加入状況はどうか
- 財産の状況はどうか、どう分配してほしいか
- どのような葬儀をしてほしいか、誰を呼んでほしいか
- ペットの世話をどうしてほしいか
- 閉鎖して欲しいSNSやブログなどの情報
- 免許証、許可証など返納しなければならないものの情報
- 残される家族や友人への言葉
「終活は高齢になってから行えばよく、若い自分には関係がない」と思っていた人も、上のリストをご覧になると「確かに、急病や事故などに備えて、書いておいたほうがいい」ことがたくさんあると、気づくでしょう。
このリストを作ると、「これまで、自分はこのような生活を送ってきたのだ」と振り返る機会にもなります。
財布をなくした! パソコンが壊れた! そんな時も
離れて暮らすご家族への連絡先を一覧表にしておくと、携帯電話を紛失したりパソコンが壊れた場合でも役立ちます。銀行口座や保険、クレジットカードの加入状況は、財布を紛失した場合など、金融機関やカード会社への連絡が必要なときに役立ちます。
SNSやブログの利用状況についても、パソコンが壊れ再設定が必要なときには、大切な情報となります。ペットの世話に関する内容も、出張などの理由でペットホテルに預ける場合に、役立つでしょう。
ただし、火災や津波などの災害が起こった場合は、エンディングノートそのものが失われる可能性もあります。エンディングノートは災害時にもすぐ持ち出せるような形で保管しましょう。
「救命医療情報キット」の保管方法を参考に
ところで、皆さんは自治体が配布している「救命医療情報キット」をご存知でしょうか?
情報シートに必要な氏名、生年月日、血液型、服薬内容、かかりつけ医、緊急連絡先などを記入し、プラスチックケースにシートを封入して、冷蔵庫に保管することになっています。もし自治体で配布されていない場合は、必要な情報をメモ用紙に記入し、空になったペットボトルに入れてふたを閉め、保管するという方法もあります。
では救命医療情報キットはなぜ冷蔵庫に保管するのでしょうか? それには次のような理由があります。
- 冷蔵庫はたいてい台所にあるので、救急隊員が駆けつけたとき、情報キットがどこにあるか分かりやすい
- 頑強なつくりの冷蔵庫は、災害時でも壊れにくい
このことを参考に、エンディングノートのコピーや、お薬手帳、健康保険証のコピーなど、万が一の場合に必要な書類を、冷蔵庫に保管するのもよい方法です。
非常食の消費期限や乾電池の寿命もチェックを
非常食の買い置きをしている人は、消費期限のチェックをしましょう。期限が切れそうな非常食は、被災した場合の予行演習も兼ねて食べることにして、新しい非常食を購入しておくとより安心です。乾電池の寿命、そのほか避難袋に入れている備品や消耗品の状態も、必ず確かめておきましょう。
また、家族とはぐれた際に、役に立つのが家族写真です。家族の成長などで外見が変わることもあるので、最新の家族写真を用意しておきましょう。
引っ越しや家具の移動をするときには、家具を壁に留めたり、つっぱり棒など使ったりして、地震が起こっても倒れにくいようにしましょう。
保険の契約書、銀行の通帳や印鑑、エンディングノートの保管場所などの情報も、ご家族で確認しておけば、災害時に探し回る必要がなくなるので、速やかに避難ができます。