これから年金を受給する人の中には、どのくらい年金支給があって、そのうちどんな税金が天引きされるのか、少なからず不安に感じる人もいるのではないでしょうか。
次の年金支給日は2024年4月15日(金)。どのような条件で天引きされる人とされない人が分かれるのでしょうか。
今回は、税金と保険料の内訳や、天引きの条件、天引きがなくなり普通徴収へ切り替わる理由などを解説します。
1. 2024年「年金支給日」カレンダーで支給日をチェック!
公的年金は2ヶ月に1度、偶数月の15日(土日・祝祭日の場合は直前の平日)が支給日となります。
支給日に、前々月と前月分がまとめて支給されます。
年金支給日:支給対象月
- 2024年2月15日(木):2023年12月分・2024年1月分
- 2024年4月15日(月):2024年2月分・2024年3月分
- 2024年6月14日(金):2024年4月分・2024年5月分
- 2024年8月15日(木):2024年6月分・2024年7月分
- 2024年10月15日(火):2024年8月分・2024年9月分
- 2024年12月13日(金):2024年10月分・2024年11月分
2. 年金から天引きされる税金と保険料とは?
それでは、年金から天引きされるお金についてみていきましょう。
基本的に年金は、次のお金が天引きされた状態で支給されます。
- 所得税
- 住民税
- 介護保険料
- 健康保険料
支給される予定の金額が記されたねんきん定期便には、税引前の金額が記載されているため、額面通りにとらえてしまうと、いざ支給されたときに少々混乱してしまいます。
年金の天引き制度はよく覚えておきましょう。
年金からの天引き制度は、受け取る側はわざわざ税金や社会保険料を支払いに出向く必要がなく、自治体や国は税収を確実に確保できるため、双方にメリットがあるとして採用されています。
多くの人は、支給される年金から税金や保険料が天引きされますが、なかには天引きされないケースもあります。
3. 年金から税金や保険料が天引きされない条件まとめ
年金から税金等が天引きされないケースを確認していきましょう。
3.1 ケース①年金から「所得税」が天引きされない:年収が規定以下の人など
収入が公的年金のみの場合、65歳に満たない人は108万円以下、65歳以上の人は受給額158万円以下の場合、所得税そのものが課税されません。
理由は、年金受給額から基礎控除と公的年金控除を引くと課税対象が0円になるためです。
したがって、この場合、年金から所得税が天引きされることはありません。
2023年度時点で国民年金だけを受給している人は、満額でも年額79万5000円の受給となるため、所得税は課税されません。
3.2 ケース②年金から住民税が天引きされない:その年の1月2日以降に転居した人など
住民税もそもそも課税されない場合は、年金から天引きされません。課税される方で年金から住民税が天引きされる条件は次のとおりです。
- その年の4月1日の時点で65歳以上
- 年金額が18万円以上
次の条件に該当した場合、年金からの天引きは停止します。
- その年の1月2日以降に他の市町村へ引っ越した場合
- 年度の途中で介護保険料に変更があった場合
- その年の4月1日の時点で年金の支給がなかった場合
- 特別徴収の金額が年金支給額を超える場合
住民税の場合は、イレギュラーな出来事によって天引きが止まってしまうケースがあります。
転居に関連して天引きが停止することは想定されますので、住所が変わるときは一旦普通徴収に戻ることを認識しておきましょう。
心当たりなく住民税が天引きされなくなった場合は、自治体へ理由を確認したほうが良いでしょう。
3.3 ケース③年金から「介護保険料」が天引きされない:年金受給額が18万円以下の人など
65歳になると、介護保険料は年金から天引きされるようになります。
40歳から64歳までは加入している健康保険料と合わせて納付、または給与からの天引きとなっていましたが、65歳からは住んでいる自治体へ納付します。
65歳以上の人が支払う介護保険料は本人の所得を元に計算され、6月中に自治体から通知されます。
年金受給者の場合、年間の年金受給額が18万円以上の人は年金天引きによる特別徴収、18万円以下の場合や、繰下げ待機中の場合に普通徴収となります。
自分の納付方法をよく確認し、納付忘れがないよう気をつけましょう。
3.4 ケース④年金から「健康保険料」が天引きされない:
65歳以上75歳未満の人は「国民健康保険料」、75歳以上の人は「後期高齢者医療保険料」が年金から天引きされます。
いずれも年金天引きの対象となるケースは、老齢、退職、障害または死亡を理由として受給している年金で、年間の受給額が18万円以上の人です。
年間の年金受給額が18万円未満の人や、国民健康保険料または後期高齢者医療保険と介護保険料の合計額が、各支払期に支払われる特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合は、普通徴収の対象となり、年金からの天引きはありません。