福島原発事故から7年経った3月、新たに2基が再稼働した現実
あの東日本大震災、そして津波影響に伴う東京電力福島第一原発事故の発生から、この3月で7年が経過しました。その一方で、この3月中旬以降、国内では2つの原発(大飯原発3号機、玄海原発3号機)が再稼働となっています。
これにより、福島第一原発事故を受けて導入された新規制基準に基づく再稼働は、5原発7基となりました(注:現在稼働中は5基、残る2基は定期検査のため停止)。あの忌まわしい原発事故を繰り返さないという願いは今も強い一方、再稼働は着々と進んでいるのが実情です。
3月28日は世界初の「原発事故」が発生した日
ところで、3月28日は、世界初の原発事故が発生した日でもあります。1979年のこの日、米国ペンシルベニア州で起きた「スリーマイル島原子力発電所事故」が、炉心融解(メルトダウン)を伴う世界初の原発事故と認定されています。なお、スリーマイル島原発には1号機、2号機がありましたが、事故を起こしたのは2号機のみです。
実は、それまでも世界各地で“原発事故”と呼ばれる事態は数多く起きていましたが、幸いにも炉心融解には至りませんでした。しかし、このスリーマイル島原発事故で、人々が恐れていた炉心融解が現実となったのです。
なお、スリーマイル島原発事故以前にも、たとえば研究用の原子炉や、原子力潜水艦などで相応の放射能汚染を起こした大きな「原子力事故」は幾度か報告されています。しかし、「原子力発電所」の原子炉で炉心融解が起きたという点において、当該事故が世界初の原発事故と認識していいでしょう。
過去に3件発生した炉心融解(メルトダウン)を伴う原発事故
世界の歴史上、炉心融解を伴う原発事故はスリーマイル島原発事故の他に、チェルノブイリ原発事故(1986年)、福島第一原発事故(2011年)の3回しか経験がありません。
ちなみに、チェルノブイリ原発事故後の1992年に制定されたINES(国際原子力事象評価尺度)に基づくレベル1~7で判断すると、チェルノブイリ原発事故と福島第一原発事故が最上位のレベル7(深刻な事故)とされ、スリーマイル島原発事故はレベル5(事業所外へリスクを伴う事故)とされています。
米国では今も稼働するスリーマイル島原発1号機
このレベル判断によれば、スリーマイル島原発事故は、チェルノブイリや福島第一よりも深刻度は低くなっています。しかし、米国では今でも、シニア層を中心とした多くの人々に鮮烈な記憶として残っているようで、3月28日は各地で反原発運動も行われているようです。
米国では、スリーマイル島原発事故後、反原発運動が急速に高まりました。実際に、事故後は原発の新設延期を余儀なくされていますが、いつの間にか反原発運動も下火となったのが実情です。現在、米国には約100基の原発がありますが(廃炉や稼働直前も含む)、そのうち約3分の1は、スリーマイル島事故の後で稼働、および新規設置されたものです。
“残念ながら”という表現が適切なのかどうかわかりませんが、米国での反原発運動は下火になり、原発を必要とする経済産業界が主導権を握っているのかもしれません。実は、スリーマイル島事故後、事故を起こした2号機は廃炉となりましたが、隣接する1号機は現在でも稼働しています。
これを日本にあてはめると、事故を起こした福島第一原発の近くにある福島第二原発が稼働していることになります。今の日本ではちょっと考えられないことです。