2. 勤務経験のある専業主婦はいくらの年金をもらえるのか
さきほど勤務経験がない専業主婦の年金受給額を確認しましたが、専業主婦のなかには結婚や出産までは会社員として働いていた人も少なくありません。
では、勤務経験のある専業主婦は年金をいくらもらえるのでしょうか。以下の条件で、勤務期間、勤務期間中の平均年収別に年金受給額をシミュレーションしてみましょう。
- 1975年生まれ
- 就業年齢は20歳
- 年金は65歳から受取開始
- 退職後は配偶者の扶養に入る
シミュレーションの結果は以下のとおりです。
2.1 勤務経験のある専業主婦の年金受給額
【現役時代の平均年収300万円】
- 25歳まで勤務:月7万4000円
- 27歳まで勤務:月7万7000円
- 30歳まで勤務:月8万1000円
- 33歳まで勤務:月8万5000円
- 35歳まで勤務:月8万8000円
【現役時代の平均年収400万円】
- 25歳まで勤務:月7万7000円
- 27歳まで勤務:月8万円
- 30歳まで勤務:月8万5000円
- 33歳まで勤務:月9万円
- 35歳まで勤務:月9万3000円
【現役時代の平均年収500万円】
- 25歳まで勤務:月7万9000円
- 27歳まで勤務:月8万3000円
- 30歳まで勤務:月9万円
- 33歳まで勤務:月9万7000円
- 35歳まで勤務:月10万1000円
当然ですが、勤務期間が長く、勤務期間中の平均年収が高いほどもらえる年金は高額です。35歳まで勤務して勤務期間中の平均年収が500万円の人は、月10万1000円もの年金を受け取れます。
自分がいくらの年金をもらえるのか、上記の数字を参考に確認してみてください。
3. 受給開始時期を遅らせることで年金額は増やせる
専業主婦の年金受給額をシミュレーションしましたが、実は年金は受給開始時期を遅らせることで増額が可能です。
これを「年金の繰下げ受給」といいます。受給開始時期を遅らせることによる年金受給額の増額率は以下のとおりです。
3.1 受給開始年齢ごとの年金受給額減額割合
繰下げ年数 年金受給額の増額率(65歳対比)
- 1年 +8.4%
- 2年 +16.8%
- 3年 +25.2%
- 4年 +33.6%
- 5年 +42.0%
- 6年 +50.4%
- 7年 +58.8%
- 8年 +67.2%
- 9年 +75.6%
- 10年 +84.0%
年金受給開始を75歳に遅らせれば、65歳から年金の受取を開始した場合と比べてもらえる年金を+84%増やせます。
65歳から年金の受取を開始した場合にもらえる年金額が月額10万円の場合、75歳に受給開始を遅らせれば月額18万4000円の年金を受給可能です。
できるだけ年金額を増やしたい人は、年金の繰下げ受給を検討してみると良いでしょう。
4. 世帯での年金受給額をシミュレーションしよう
専業主婦の年金受給額を確認しましたが、年金は夫ももらえます。
そのため、夫婦での年金額がいくらになるのかをシミュレーションしてみてください。シミュレーションの結果、夫婦合計での年金額が少ないことがわかれば、今から節約や資産運用などの老後対策を始めましょう。
参考資料
苛原 寛