国民年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての方が加入することが義務付けられています。
収入のない学生であっても例外ではなく、20歳になれば加入し保険料を納めなければなりません。
しかし、学生にとって毎月1万6980円(令和6年度)もの保険料を納めるのは大変なことです。
代わりに親御さんが納めることもできますが、子どもの国民年金保険料まで支払う余裕がないご家庭も多いでしょう。
そのような場合は、「学生納付特例制度」の利用を検討しましょう。詳しい制度内容や注意点などを解説していきます。
1. 学生納付特例制度とは
「学生納付特例制度」とは、国民保険料の納付が難しい学生が、申請することで在学中の保険料納付が猶予される制度です。
1.1 対象となる学生
学生納付特例制度を利用できるのは、以下の条件にいずれにも該当する学生です。
- 学生本人の前年の所得が基準額以下である
(基準額:128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等) - 大学・大学院、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校などに通っている
前年の所得が一定基準額以下である必要があります。なお、基準とされるのは学生本人の所得であり、家族の所得は問われません。
対象になる学校は、上記のほかにも専修学校や各種学校、海外の大学の日本分校の一部、夜間・定時制課程や通信課程も含まれます。大部分の学生が対象になるといえます。
なお、対象となる学校は「学生納付特例対象校一覧」で確認可能です。
1.2 申請方法と必要書類
学生納付特例制度の申請方法や手続きに必要な書類を確認していきましょう。
【申請方法】
学生納付特例制度の申請先には次の3つがあります。
- 住民票登録のある市区町村役所の国民年金担当の窓口
- 近くの年金事務所
- 在学中の学校(学校が学生納付特例の代行事務の許認可を受けている場合のみ)
上記のいずれかに直接出向くか、申請書を郵送で提出することもできます。ほかにも、マイナポータルを利用した電子申請も可能です。24時間どこからでも申請できるので、日中忙しい学生には選択肢のひとつになるでしょう。
【必要書類】
学生納付特例制度を申請する際に必要な書類があります。
- 基礎年金番号通知書のコピーまたは年金手帳(氏名の記載ページ)のコピー
- 学生であることまたは学生であったことを証明する書類
基礎年金番号と学生であること(であったこと)の証明書を用意する必要があります。
なお、学生であること(であったこと)を証明する書類としては、以下のものとされています。
- 在学期間がわかる在学証明書(原本)
- 学生証の写し
また、退職(失業)した方が申請をするときは、以下のような退職(失業)したことを確認できる書類が必要です。
- 雇用保険受給者証、雇用保険受給資格通知
- 雇用保険被保険者離職票等の写し
2. 保険料は10年以内なら追納できる
学生納付特例制度により納付猶予を受けた分の保険料は、10年以内であれば「追納(後払い)」できます。
学生納付特例制度の期間中は、将来国民年金を受給する際に必要な「受給資格期間」にはカウントされますが、年金額には反映されません。納付しなかった分は年金が減額されてしまうのです。
将来の年金額が減額されないように、収入を得るようになったら追納することをおすすめします。
また、追納した国民年金保険料は、年末調整や確定申告の際に「社会保険料控除」を受けられるので節税にも役立ちます。
なお、2年以内に追納する場合は本来の金額のままですが、3年度目以降のものは経過期間に応じた加算額が上乗せされます。できるだけ早期に追納すると良いでしょう。