4. 公的年金受給額の全体平均をチェック
先ほど年齢別の平均年金月額をみましたが、全体の平均年金月額も確認しましょう。
4.1 厚生年金の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
全体的に見ると、60歳代と70歳代では、平均月額がそれぞれ14万円台となりました。
男女別にみると、厚生年金の受給額には約6万円の差があります。これは女性の方が男性に比べて賃金が低いことや、育児や介護などのライフイベントで働き方が変わりやすいことが理由と考えられます。
将来は男女間の差が徐々に縮まっていく可能性がありますが、現代では働き方が多様化しているため、個人差は今後も残り続けるでしょう。
4.2 国民年金(老齢基礎年金)の受給額
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
国民年金の平均月額は5万円台で男女差はありませんでした。
グラフでは6万円~7万円を受給している人が最多となりました。
自営業や専業主婦など、老後は国民年金のみを受給するという人は、毎月約5万円の収入で生活しなければならないことになります。年金以外の貯蓄を備えておかなければ、老後の生活に不安が残るでしょう。
5. 老後に向けて今から貯蓄の習慣を
内閣府の資料によると、「何歳まで働きたいか」という問いに対し、「61歳~65歳」と答えた人が28.5%で最も多い結果となりました。
老後も働く理由は様々です。健康や環境が許す限り、多くの人が働き続けたいと考えています。
ただし、定年後はゆとりのある老後を望む人もいます。その場合、年金だけで生活を維持できるかどうかをしっかり考える必要があります。ご自身の受給額が気になる方は、ねんきん定期便やねんきんネットで確認してみましょう。
公的年金だけでは不足する場合は、「公的年金を増やす」「私的年金を増やす」「長く働き続ける」「貯蓄をする」「資産運用をする」など、様々な老後資金対策があります。
今回の統計を参考にして、自身に合った老後資金計画を考えてみてください。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 内閣府「「生活設計と年金に関する世論調査」の概要」
中本 智恵