2. 厚生年金と国民年金から天引きされる税金・保険料5つ
厚生年金や国民年金から天引きされるお金について、5つにわけて見ていきましょう。
2.1 介護保険料
40歳から64歳までは健康保険料に含めて支払う介護保険料ですが、65歳になると単独で支払うことになります。
介護保険料は、年金年額が18万円以上の方は年金から天引きされることに。
介護保険料は住所地や所得によって異なるものの、徐々に増加傾向にあります。
介護状態になれば介護保険料の支払いが終わると勘違いする方もいますが、支払いはずっと続くので注意しましょう。
2.2 国民健康保険料(税)
国民健康保険とは、協会けんぽや健康保険組合などの会社の保険に加入していない75歳未満の方が加入する、公的健康保険です。
65歳から74歳までの国民健康保険加入者の場合、原則として国民健康保険の保険料(税)も年金から天引きされます。
2.3 後期高齢者医療制度の保険料
後期高齢者医療制度とは、原則75歳以上の方が加入する公的健康保険です。
会社の保険に加入していた方でも、年齢到達により必ず加入します。
後期高齢者医療制度の保険料は都道府県や所得によって変わりますが、こちらも年金からの天引きで納めます。
※国民健康保険や後期高齢者医療制度は、申請により普通徴収(納付書や口座振替)に変えられる自治体もありますが、それでも支払いの義務はあるため、実質年金天引きと負担は変わらないといえます。
※国民健康保険と後期高齢者医療制度はいずれかの加入になるため、同時に天引きされることはありません。
2.4 所得税および復興特別所得税
一定額以上の年金には所得税がかかります。公的年金は雑所得となり、65歳未満なら108万円、65歳以上なら158万円を超えると課税されます。
また「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、所得税の源泉徴収の際に併せて復興特別所得税もかかります。
ただし、障害年金や遺族年金を受給する場合は非課税です。
2.5 個人住民税
前年中の所得に対してかかる住民税についても、年金所得が一定になれば課税され、年金天引きで納めます。
障害年金や遺族年金を受給する場合は非課税です。
※天引きが開始される時期は、税金や保険料によって異なります。初めて支給される年金から同時に天引きが開始されるわけではありません。
3.「厚生年金」受給額は額面でいくらなのか
最後に厚生労働省年金局の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、額面での年金受給額(2021年度末時点の平均)を見ていきましょう。
まずは厚生年金受給額を確認します。
※厚生年金の金額には、国民年金部分も含まれています。
3.1 厚生年金の平均受給月額
平均年金月額:14万3965円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3380円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4686円
※国民年金の金額を含む
3.2 厚生年金月額階級別の老齢年金受給者数
- 1万円未満:9万9642人
- 1万円以上~2万円未満:2万1099人
- 2万円以上~3万円未満:5万6394人
- 3万円以上~4万円未満:10万364人
- 4万円以上~5万円未満:11万1076人
- 5万円以上~6万円未満:16万3877人
- 6万円以上~7万円未満:41万6310人
- 7万円以上~8万円未満:70万7600人
- 8万円以上~9万円未満:93万7890人
- 9万円以上~10万円未満:113万5527人
- 10万円以上~11万円未満:113万5983人
- 11万円以上~12万円未満:103万7483人
- 12万円以上~13万円未満:94万5237人
- 13万円以上~14万円未満:91万8753人
- 14万円以上~15万円未満:93万9100人
- 15万円以上~16万円未満:97万1605人
- 16万円以上~17万円未満:101万5909人
- 17万円以上~18万円未満:104万2396人
- 18万円以上~19万円未満:100万5506人
- 19万円以上~20万円未満:91万7100人
- 20万円以上~21万円未満:77万5394人
- 21万円以上~22万円未満:59万3908人
- 22万円以上~23万円未満:40万9231人
- 23万円以上~24万円未満:27万4250人
- 24万円以上~25万円未満:18万1775人
- 25万円以上~26万円未満:11万4222人
- 26万円以上~27万円未満:6万8976人
- 27万円以上~28万円未満:3万9784人
- 28万円以上~29万円未満:1万9866人
- 29万円以上~30万円未満:9372人
- 30万円以上~:1万4816人
厚生年金は6万円ほど女性が少なくなっています。
現役時代の収入で保険料が決まるので、個人差や男女差が出やすいと考えられます。