3月ということで、入社を控えた新社会人や就活がスタートした就活生などがビジネスマナー講座や就職セミナー等を受講することも多いようです。しかし一風変わったセミナーも存在します。

たとえば、3月8日の『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)で特集されて大きな反響を呼んだ、叱られ方をレクチャーする「叱られ方研修」。その内容はいったいどういうものでしょうか?

叱られることに耐性がない!?

研修はプレゼン形式で、講師は「怒る」と「叱る」の違いを説明し、「上司や先輩が叱るのは部下の成長を促すためであり、激しい叱咤の言葉の裏にある意図を読み解くべきだ」と話します。ではなぜこういった研修が行われたのでしょうか?

背景には「叱らない子育て」などによって、叱られることへの耐性を身につけず育ってきた最近の若者像にあるようです。たとえば、少し注意しただけでショックを受けたり、「嫌われている」と思い込んだりして退職してしまうといった例もあります。

そこで、東京・豊島区にある大正大学が、卒業生の離職率を下げるために企画したものが、この「叱られ方研修」でした。

「上司こそ研修受けろ」の声

しかし、この研修に対して、ネット上では批判的な声が多いようです。

「上司に向けた指導方法研修やアンガーコントロール研修のほうが先では?」「叱られ方研修より叱り方研修のほうが必要」といった上司側の改善を促す声や、「それよりもセルフマネジメントの方法もきちんと指導すべき」といったより包括的な講座を求める声がありました。

行き過ぎた叱咤は、職場での罵声や人格攻撃といったパワハラなどの温床になりかねません。そういった意味でも、これらの指摘には一定の説得力はあります。

否応なく求められる「コミュ力」

実は「叱られ方研修」、だけでなく、他にも「ほめ方研修」「寸劇研修」といった風変わりなものも含め、コミュニケーション能力の向上を目的とした研修は数多く存在しており、人気も高いようです。

学生時代はまだ「気の合う人間とだけ付き合う」という道も選べますが、ほとんどの職業では、仕事をする上で「コミュ力」が否応なく求められますし、誰でも一度は頭を悩ませるものです。また「コミュ力」は抽象的なものだけに、なんとなく不足している気がしてしまうのも確かです。だからこそ、明確な解決方法を求めてこうした研修に参加する人も多いのでしょう。

そもそも、万人にとって効果のある研修というのはあまりないものです。こういった研修に参加するなら、本当に自分のためになるのか、得られる知識や考え方がおおよそ世間の求める感覚と合っているのか、などを見極めることも大切かもしれません。読者のみなさんはどう思われますか?

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