1. 日経平均は4万円付近で上値重く3万8000円台へ
2024年3月15日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比99円74銭安の3万8707円64銭となりました。前日の米株式市場でダウ工業株30種平均が反落したことから、日本株も売られる展開となりました。3月6日までは終値ベースで4万円を維持していましたが、その後は4万円割れが続き、上値の重い展開が続いています。
3月末の期末を控え、国内の年金基金などの機関投資家がリバランス(資産配分の調整)を目的とした売りを出しているとの観測もあります。
今週、日経平均はどのような動きになるでしょうか。18日~19日に、日銀の金融政策決定会合が開かれます。注目されるのは、マイナス金利政策を解除するほか、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を撤廃、さらに上場投資信託(ETF)の買い入れについても停止する見通しであることです。
マイナス金利解除の背景にあるのが、昨今の物価上昇と賃上げです。消費者物価指数が前年同月比で2%を超えて上昇しています。物価だけ上昇しても賃金が上昇しなければこれを維持することができませんが、連合が15日発表した24年の春季労使交渉の第1回回答によれば、ベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせた賃上げ率は平均5.28%と大きく上昇しています。これらから、日銀もマイナス金利解除の環境が整ったと判断したようです。
大きな転換と言えますが、YCCの撤廃やETFの購入停止については市場ではすでに織り込み済みといったところです。もちろん、日銀のETFの購入停止と売却は株安につながりますが、大量の保有資産を一気に市場に放出することは考えづらく、足元での影響は限定的と想定されます。
19日~20日には米連邦準備理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれます。現状では政策金利を据え置くと見られています。一方で、年内の利下げペースが後退するとの観測もあり、株式市場にとっては下値圧力となっています。
15日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比190ドル89セント安の3万8714ドル77セントで終えています。日本株も週初から上値の重い展開になりそうですが、日銀の金融政策決定会合やFOMCの結果を見極めたいと、様子見傾向になることも考えられます。逆に、マイナス金利政策解除などは織り込み済みと、イベント通過を見越して買われる展開もあり得ます。東京市場は、20日は春分の日で休業です。急な値動きになることもあるので注意したいところです。