春を象徴する和菓子といえば、桜餅。3月から4月にかけては、和菓子屋さんをはじめスーパーやコンビニなどいろんなお店で見かけますよね。

薄いピンクの見た目がかわいらしい桜餅は、実は関東と関西で違いがあるのだとか。そこで本記事では、関東と関西の桜餅の違いや、桜餅の分布を紹介します。

関東と関西の桜餅の違いは?

さまざまなお店で見かける2種類の桜餅

関東と関西の桜餅

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関東と関西の桜餅の違いとしてよく挙げられるのが、見た目です。関東の桜餅は餡子を薄くクレープ状に焼いた生地で巻いているのに対し、関西の桜餅は道明寺粉で餡子を包んだ丸いお餅のような形をしています。

桜餅の呼び方も違うようで、関東風のものを「長命寺」、関西風のものを「道明寺」と呼ぶこともあるのだとか。呼び方の違いには、使用する材料や発祥の地も影響しているそうですよ。

農林水産省の「うちの郷土料理」を覗いてみると、使用している材料も一部異なるようです。関東の桜餅で使用しているクレープ状の生地は、小麦粉でできています。

関西の桜餅で使う道明寺粉は、蒸したもち米を乾燥させ、粗くひいたものです。同じ日本国内であるにも関わらず、東西で大きな違いがあるのは興味深いですね。

桜餅のアイデアが生まれたのは関東だった

春先の東京スカイツリーと隅田川

春先の東京スカイツリーと隅田川

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桜餅は、享保2年(1717)に現在の東京都墨田区周辺で生まれたと伝わっています。長命寺の門前を生活の拠点とし、寺の門番を務める山本新六という人物が考案したそうです。

長命寺のすぐ近くには隅田川が流れており、当時から桜の名所として知られていました。山本新六は土手に落ちる大量の桜の葉を掃除している最中に、桜餅を作ることを思いつきます。

山本新六が考案した桜餅は、塩漬けした桜の葉で餅を包んだ、桜の香りと餅を同時に楽しめるものです。塩漬けした桜の葉で餅を包むという発想は、後に関西まで伝わりました。

山本新六の桜餅はたちまち評判となり、花見客の人気商品にまで成長!山本新六は桜餅のお店「山本や」を創業し、そのお店は現在も隅田川のそばで営業を続けています。