「老後に年金がもらえる」ことは知っていても「具体的にどのくらい受け取れるのか」を知らない方も多いでしょう。

老後に受け取れる公的年金の受給額は、現役時代に加入している年金の種類や年収、加入期間など複数の要因が大きく影響しています。

今回は入社30年、平均標準報酬額は「35万円」の相談者(Cさん)が自分の年金額を不安に思っているようです。

自分のおおよその年金額を知るための「ねんきん定期便」の見方と、Cさんの将来受給が見込める年金額をシミュレーションしてみましょう。

1. 【年齢別】将来の年金額を知る方法:ねんきん定期便の見方

老後の厚生年金や基礎年金(国民年金)をどのくらいもらえるか、実は毎年誕生月に送られてきている「ねんきん定期便」に記載されています。

ただし、この「ねんきん定期便」にもすべての方に将来の年金額が記載されているわけではありません。

1.1 50歳未満の方:これまでの納付をもとに計算された「加入実績に応じた金額」

50歳未満の方に送られる「ねんきん定期便」に表示される年金額は、老齢年金を受け取るために必要な年金加入期間を満たしているかどうかに関わらず、これまでの年金加入期間をもとに計算されています。

老齢年金を受け取るためには、原則として120月以上の年金加入期間(未納期間を除く)が必要です。必要な年金加入期間を満たした方は、65歳から老齢年金を受け取ることができます。

納付した保険料に応じた老後の年金額が記載されるため、20歳代・30歳代の方は特に少なく感じるかもしれません。

今後、厚生年金や国民年金の保険料を納めることで記載される年金額も増えていくはずです。ただし、今後の加入実績や制度改正により、将来受け取るれる実際の年金額は変わります。

1.2 50歳以上の方:給与水準が横ばいで推移し、60歳で加入すると仮定した「見込額」

50歳代になると「ねんきん定期便」に記載される金額は、これまでの加入実績に応じた額から「見込額」に変わります。

現在の働き方や給与体系で60歳まで働いた場合に見込まれる年金額が記載されているため、給与やボーナスが増えれば記載金額より増えることになります。

40歳代まで通知されていた「加入実績に応じた額」に比べると「見込額」はより実態に近く、将来受給できるおおよその年金額を把握できるといえるでしょう。