60歳代・70歳代は、いずれも貯蓄3000万円超の世帯が20%程度います。
一方で貯蓄非保有の世帯も60歳代が21%、70歳代も19%いる結果に。
年度末には公務員や一部の企業で一斉に定年退職を迎えるものですが、定年が近づくほどに老後資金や老後格差が気になるものではないでしょうか。
同年代のなかの「世帯間格差」があることに留意が必要です。
1. 60歳代・70歳代の貯蓄3000万円以上の割合は約20%
今回は令和5年(2023年)の金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」をもとに、60歳代・70歳代の二人以上世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)の貯蓄額分布をまとめました。
60歳代の貯蓄額分布は以下の通りです。
- 非保有:21.0%
- 100万円未満:5.9%
- 100万円~200万円未満:4.5%
- 200万円~300万円未満:4.3%
- 300万円~400万円未満:3.0%
- 400万円~500万円未満:1.9%
- 500万円~700万円未満:7.2%
- 700万円~1000万円未満:6.7%
- 1000万円~1500万円未満:6.8%
- 1500万円~2000万円未満:5.4%
- 2000万円~3000万円未満:9.5%
- 3000万円以上:20.5%
- 無回答:3.2%
非保有が21.0%もいるのに対して、3000万円以上の貯蓄を持つ方も20.5%います。
さらに2000万円以上の貯蓄がある方でみると約30%まで拡大します。
同世代の中の世帯間格差が生じていることが浮き彫りになっています。
続いて70歳代の分布はこちらです。
- 非保有:19.2%
- 100万円未満:5.6%
- 100万円~200万円未満:5.1%
- 200万円~300万円未満:4.3%
- 300万円~400万円未満:4.7%
- 400万円~500万円未満:2.5%
- 500万円~700万円未満:6.2%
- 700万円~1000万円未満:5.8%
- 1000万円~1500万円未満:10.2%
- 1500万円~2000万円未満:6.6%
- 2000万円~3000万円未満:7.4%
- 3000万円以上:19.7%
- 無回答:2.6%
こちらも非保有が19.2%いる一方で、3000万円以上の貯蓄がある世帯が約19.7%いるという結果に。
ちなみに年代別の3000万円以上の貯蓄がある世帯の割合は次の通りです。
- 20歳代:0.6%
- 30歳代:4.0%
- 40歳代:6.5%
- 50歳代:11.2%
- 60歳代:20.5%
- 70歳代:19.7%
- 全世代:12.7%
60歳代・70歳代は全世代のなかでは貯蓄3000万円以上をもつ世帯の割合が特に多いのが特徴です。
現役世代の時期に順調に収入を得ながら、老後に向けて貯蓄を進めた世帯の一定数が3000万円の貯蓄形成に成功している様子がうかがえます。