2. 【老後の支出】65歳以上の生活費は毎月いくら?
年金収入が少なくても、それを下回る支出で生活をやりくりできれば最低限の暮らしは確保できます。
では、65歳以上無職世帯の平均的な生活費はどのくらいか。総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」より確認していきます。
上図のとおり、65歳以上無職世帯の消費支出は夫婦世帯が25万959円、単身世帯が14万5430円です。
支出の3割近くを占めるのが食費です。次に、交通・通信費のウェイトが高くなっています。
3. 【老後の家計収支】世帯別にシミュレーション
老後は、年金収入だけではやりくりできないという声を多く聞きます。
先ほど確認した年金平均月額と老後の平均的な支出を用いて、世帯別にひと月あたりの収支を試算してみましょう。
3.1 夫婦世帯
《夫:厚生年金・妻:国民年金》赤字
夫:16万3875円+妻:5万4426円=21万8301円
21万8301円ー25万959円=▲3万2658円
《夫:国民年金・妻:厚生年金》赤字
夫:5万8798円+妻:10万4878円=16万3676円
16万3676円ー25万959円=▲8万7283円
《夫:国民年金・妻:国民年金》赤字
夫:5万8798円+妻:5万4426円=11万3224円
11万3224円ー25万959円=▲13万7735円
《夫:厚生年金・妻:厚生年金》黒字
夫:16万3875円+妻:10万4878円=26万8753円
26万8753円ー25万959円=1万7794円
3.2 単身世帯
《国民年金》赤字
男性:5万8798円ー14万5430円=▲8万6632円
女性:5万4426円ー14万5430円=▲9万1004円
《厚生年金》男性のみ黒字
男性:16万3875円ー14万5430円=1万8445円
女性:10万4878円ー14万5430円=▲4万552円
上記のとおり、夫婦世帯においては夫婦ともに厚生年金の場合に「黒字」、単身世帯においては男性のみ「黒字」という結果になりました。
平均値を用いたシミュレーションでは、多くの世帯で年金収入だけでは毎月「赤字」になる可能性が高いと分かります。
年金収入も生活費も世帯により異なるものです。
これから老後対策を考える現役世代の方は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の受給見込額を確認したうえで、現時点の生活費から老後の家計収支を試算してみると良いでしょう。
※シミュレーションに用いた平均年金月額は税金や社会保険料が天引きされる前の額面となります。
4. 老後対策の第一歩!ご自身の年金見込額の確認から
今回は平均受給額について確認しましたが、1万円刻みの受給権者数をみてもわかる通り、年金受給額については個人差が大きいものです。
老後資金対策は、「老後の柱」である年金受給額を確認することが第一歩。
ご自身の受給予定額については、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しましょう。
年金の受給予定額を確認した後は、老後に向けて以下のような対策を検討しましょう。
- 公的年金を増やす方法を考える
- 私的年金を準備する
- 預貯金を貯める
- 資産運用をする
2024年には新NISAがスタートしましたが、現代は昔に比べて資産運用もはじめやすくなっています。
公的年金や私的年金だけでなく、貯蓄や資産運用までさまざまな選択肢を考え、ご自身に合った老後対策を検討しましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
- 日本年金機構「ねんきんネット」
和田 直子