2. 都道府県により平均額が異なる理由
なぜ都道府県により厚生年金の平均受給額が異なるのでしょうか。
厚生年金の受給額は、現役時代の収入や加入期間などにより決まります。収入が高いほど、また、加入期間が長いほど高額になるのが一般的です。
今回のランキングで上位5つと下位5つに該当した都道府県では、平均収入に違いがあることが考えられます。
厚生労働省の「労働統計要覧(令和4年度)」によると、それぞれの都道府県の平均収入は以下の通りです。
平均受給額が高い都県は30万円前後が多く、東京都では40万円を超えています。一方、平均受給額が低い県では26万円〜28万円弱となっており、平均収入が低い傾向にあることがわかります。
このように、都道府県によって平均収入が異なり、それが厚生年金の平均受給額にも影響していると考えられます。
3. 年金額を増やす方法
厚生年金の受給額を増やすには、収入を上げる必要があります。しかし、毎月の給与はそう簡単に上げられるものではないでしょう。
収入を増やすのが難しい場合、貯蓄やつみたてNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)などで老後資金を準備する方法があります。
貯蓄は、先取り貯金がおすすめです。毎月決まった日に口座から自動的に引き落とされるので、生活費に消えることなくいつの間にかお金を貯められます。
また、さらに積極的に貯蓄をしていきたい場合は、つみたてNISAやiDeCoなどの投資商品を選ぶのも良いでしょう。
2024年1月から新しいNISAに移行し、つみたてNISAはこれまでより非課税枠が拡大されたり非課税保有期間が無期限化されたりなど、利用者にメリットの大きな制度になっています。
iDeCoは自分で決めた金額の掛け金を拠出し、運用も自分で行い、原則60歳以降に老齢給付金を受け取れる制度です。掛け金の拠出時や運用時、受取時にそれぞれ税制優遇措置が設けられています。
ただし、つみたてNISAもiDeCoも投資商品なので元本割れリスクなどがあることに注意が必要です。
4. まとめにかえて
厚生年金の受給額は都道府県によっても異なり、最も高い神奈川県と最も低い青森県では約4万2000円の差があります。年額にすると約50万3000円にもなります。
都道府県間で平均額に差が出るのは、主に平均収入が異なることが関係しています。
老後の生活費が不安な方は、早いうちから貯蓄をしたりつみたてNISAやiDeCoなどを活用したりして、老後資金の準備を始めましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「労働統計要覧(令和4年度)」
- 金融庁「新しいNISA」
- iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】「iDeCoの特徴|iDeCoってなに?」
木内 菜穂子