3. 落とし穴③「損切りのルール」を決めずに売買する
投資をはじめたばかりの人にはハードルが高くなりますが「損切りのルール」は決めておくべき事項です。
「損切り」とは、損失が出ている状態で保有している株を売り、損を確定させること。腐ったミカンの話のように、早めに損を確定させることで、深い傷を負うことがなくなります。
さらに、一旦損を確定したあとで、その資金をほかの投資先に振り向けることも可能です。
損切りルールを決めるには、いくつかの方法があります。簡単なのは、自分が許容できる範囲の株価下落を計算してルールを設定する方法です。
たとえば、1株1500円の株を100株保有しているのなら、15万円の評価額となります。自分の中で3万円の損が線引きと思っているのなら、単純に「株価が1500円から1200円に300円下落したら損切りとして売り注文を出す」と決める方法が最も簡単です。
ただし、その銘柄の株価の変動幅を考慮して損切りラインを設定する必要があります。日頃からどのくらいの値動きがある銘柄なのかはチェックしておきましょう。
3.1 「安いから買う」の実践には多少リスクあり
株式投資で「株価が安いから買う」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。
たしかに安いときには買いたくなりますが、安くなったら買うのが必ずしも正しいとは言えません。安くなるのには当然理由があり、そのほとんどは悪い理由です。業績が悪いとか、ネガティブなニュースが出たなどの理由によって株が売られ、株価が下落し安くなるというのがほとんどのパターンです。
良いニュースが出たらみんなその株がほしいので株価が上がることが多いです。
ただ、「安いから買う」は間違いとも言い切れません。厳密に言うと「安い」はただの「安い」ではありません。「その企業の評価に比べて株価がまだ割安だったら買うべき」というのが正しい投資行動なのです。
今の価格がどれだけ安いのかということばかり見るのではなく、割安であるかどうかを見るPBRやPERなどの指標も一緒に見るとよいでしょう。
4. 新NISAには認知と利用のギャップも…最新の意識調査をチェック!
2024年1月、楽天インサイト株式会社が「資産運用に関する調査」を実施。
全国の20〜69歳の、資産運用の開始時期や開始理由、そして「新NISA制度」の認知状況が浮き彫りとなりました。
調査概要は下記のとおりです。
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:全国の20歳~69歳
- アンケート母数:男女合計1000名(全国)
- 実施日:2024年1月15日(月)~16日(火)
- 調査会社:楽天インサイト株式会社
- リリース公開日:2024年2月13日
4.1 【新NISA】制度の認知度は82.4%。一方、利用者は24.2%にとどまる
そもそもNISAとは、個人の資産形成を支援するために2014(平成26)年に始まった「少額投資非課税制度」のこと。
そして2024年からスタートした「新NISA」は、年間最大投資額360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯投資枠1800万円(うち成長投資枠1200万円)まで投資して得られた利益が非課税になる税制優遇制度です。
調査内で「新NISA制度」の認知・利用状況を聞いたところ、「内容はよく知らないが、聞いたことがある」が37.6%で最多でした。
そのあとに「内容も含めて知っており、すでに利用している」(24.2%)、「内容も含めて知っているが、利用はしていない」(20.6%)、「知らない」(17.6%)が続きます。
「知らない」回答者を除いた数値を認知度と捉えると、82.4%。8割以上の人が新NISAを認識済といえるでしょう。
しかし、認知と利用の割合には大きなギャップがあります。
5. まとめにかえて
今回は「投資をしてみたいけど、損はしたくない」という人がやってはいけない行動についてご紹介してきました。
やはり投資を始めたばかりでは、分からないことも多いかもしれません。しかし、情報をうのみにせず、きちんと理解することを端折ってはリスクを被ってしまう可能性が高まります。
今は情報が溢れている時代。そのため正しい情報を選択することが必要です。正しい情報を集め、2024年良い形で投資のスタートを切れると良いですね。
5.1 参考資料
- 一般社団法人投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書-2020年(令和2年)投資信託全般」
- 金融庁「投資の基本」
- 金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」
- 楽天インサイト株式会社「資産運用に関する調査」(PRTIMES)
山本 大樹