厚生労働省が2024年1月に公表した資料によると、2024年度の公的年金額は2.7%増額され、標準的な夫婦の場合、月平均で約23万円になるとされています。
では、20万円以上の年金を受給する人の割合はどれくらいでしょうか。
今回は2023年12月に厚生労働省が公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考にし、月平均で20万円以上を受け取る人の割合を見ていきます。
1. 【厚生年金と国民年金】公的年金制度の仕組みをおさらい
公的年金は、現在働いている人たちが支払った保険料から高齢者などの年金受給者に支給される制度です。この年金の資金源には、保険料のほかに年金積立金や税金も使われます。
公的年金は国民年金と厚生年金の2種類に分かれています。国民年金は日本国内の20歳以上60歳未満の全ての人が加入し、保険料は一律です。
一方、厚生年金は公務員やサラリーマンなどが加入できます。保険料は所得に応じて変わり、将来の年金額も加入期間や納付額によって変動します。
この2つの年金制度が重なり合うことから、「2階建て構造」と呼ばれています。
まずは、ねんきん定期便や保険証書などを確認して、自分の加入状況を確認しましょう。
厚生年金などの公的年金は、年収に応じた保険料を支払うため、受給額には個人差が大きくあります。
つまり、月平均で20万円以上受給できる人もいれば、10万円未満の場合もあるというわけです。
2. 【一覧表付き】厚生年金をひと月「平均20万円以上」もらえる人の割合
厚生年金は基本的に2ヶ月分が1度に支給されます。ここからは、厚生年金の平均受給額や男女別の受給額を見てみましょう。
2.1 【厚生年金】受給額ごとの人数(1万円刻み)
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
※国民年金部分を含む
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
月平均受給額は14万3973円であり、男女で約6万円の差があります。これは、女性が結婚や出産などの家庭事情により職場を離れることで加入期間が短くなることや、賃金の格差などが影響していると考えられます。
また、厚生年金をひとりで「月平均20万円以上」受給している人の割合は14.8%という結果になりました。そのうち男性の割合は21.7%であり、一方で女性は1.2%にとどまっています。
男女の厚生年金受給額の差は将来的に縮小する可能性がありますが、現在でも女性がフルタイムで働き続けることが難しい状況が続いています。
そのため、男女の受給額の割合が同じになるのは、まだまだ時間がかかるといえそうです。