2. 【2024年度は2.7％増額】年金はプラス改定も実質目減り
厚生労働省が公表した資料によると、2024年度の年金額の例は次のとおりとなります。
- 国民年金（老齢基礎年金）：6万8000円（1人分※1）
- 厚生年金：23万483円（夫婦2人分※）
※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金（満額1人分）は、月額6万7808円
※2平均的な収入（平均標準報酬（賞与含む月額換算）43万9000円）で40年間就業した場合に受け取り始める年金（老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金（満額））の給付水準
厚生年金の23万483円という数字は、40年間会社員として月額43万9000円を稼いだ夫の厚生年金と国民年金、そして40年間専業主婦（もしくは自営業など）だった妻の年金を合算した額です。
2年連続で年金額が増加しているように見えますが、実際は目減りしています。
年金額は現役時代の賃金水準や物価の状況に応じて調整されます。2024年度は物価変動率が3.2％、名目手取り賃金変動率が3.1％となりましたが、マクロ経済スライドによる調整率が▲0.4％働き、年金額の改定率は2.7％となりました。
つまり、物価上昇率ほどには年金が上昇していないため、実質的には目減りしているということです。
マクロ経済スライドは必要な措置ですが、物価の上昇による影響は高齢者にとって厳しい社会情勢といえるでしょう。
3. 標準的な夫婦が年金を「約46万円」もらえるワケとは
標準的な夫婦が年金を「約46万円」も受け取れるには以下のような理由があります。
基本的に年金は偶数月の15日（土日祝日の前は直前の営業日）に2ヶ月分が支給されるため、1回あたりの年金額は「23万483円×2＝46万966円」となります。
そのため2024年度からは、標準的な夫婦の年金が1回あたり「約46万円」支給されることになります。
しかし、この金額は「夫婦2人分」「2ヶ月分」であることに留意する必要があります。
すなわち、「約46万円」という金額は夫婦2人分かつ2ヶ月分の金額だというわけです。
また、年金からは税金や保険料が天引きされる点も覚えておきましょう。
4. 年金から天引きされる主なお金4つ
給与から天引きされるように、年金からも天引きされるお金があります。
条件は個々に異なりますが、主に以下の4つのお金が天引きされる可能性があります。
- 所得税と復興特別所得税
- 個人住民税
- 介護保険料
- 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料（税）
所得税や住民税は、所得が一定以下であれば非課税となり、天引きされることはありません。
一方、健康保険料や介護保険料は所得が低くても支払いの義務がありますので、天引きとならなくても普通徴収で納める必要があります。
具体的な振込額は、6月に送付される年金振込通知書で確認できますので、夫婦それぞれで確認しておくと安心です。
5. 早いうちから老後の備えを
これまで年金のしくみや受給額について紹介してきましたが、もしも「自分の年金額は周りより少ないかも…」と感じた場合は、早めに老後の備えを始めましょう。
老後の資金対策は貯金以外にも、以下のような方法があります。
- NISAなどを活用して老後の資金を増やす
- 厚生年金の加入期間を延長して年金額を上げる
- 不動産収入などの不労所得を得る
- iDeCoや個人年金保険などで自分だけの年金を準備する
これらの対策を組み合わせることで、リスクを分散して効果的な老後の準備ができます。
自分に合った方法を見つけるために、まずは情報収集を始めてみましょう。
参考資料
中本 智恵
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