貯金をするにあたって、1,000万円という目標を立てる人も多いでしょう。しかし、貯金がなかなか進まないと悩む人が多いのも実情です。貯金は積み重ねという側面もあり、その人の考え方や習慣が関係してくるからです。

そこで今回は、高収入にもかかわらず貯金の目標を阻んでいる習慣、貯金が成功した人の考え方について見ていきたいと思います。

収入はそこそこあるのにお金が貯まらない。その意外な理由とは?

貯金が増えないことに悩んでいるという40代のAさんは独身でひとり暮らし。大学卒業後、大手企業に就職し、その後転職して東京で仕事を続けています。就職先は誰もが知っている企業で、給与面の条件が悪かったことが貯金できなかった理由ではないようです。

でもAさんは現在、貯金がほとんどできていません。その一番の理由は、実は「保険」。

「家族が保険会社に勤めていて、『その年収だったらこのぐらいはすべき』などと言われて契約を増やしていくうちに、月数万円の出費に。なかなかやめるとも言い出せず、今に至っています」とAさんは悩みを打ち明けます。

また、Aさんには、貯金が思うようにできない意外な習慣もあるといいます。それは「食事」と「自分へのご褒美」。

「もともとあまり食事に気をつかうタイプとはいえず、片付けが面倒で自炊もほとんどしていません。日常はコンビニやスーパーでついついお惣菜を買って済ませてしまいます。お昼も会社の近くで食べると毎日軽く1,000円くらいは飛んでいきますし、飲みに行く回数も多くて」

また、ストレスがたまる仕事の後などに、ついネットで「自分へのご褒美」を買ってしまったりするのも痛い出費だといいます。

「保険は貯蓄性のあるものでiDeCoやNISAもやっているので、まったく貯まっていないというわけでもないですし、老後に向けて何もないということもないのですが…もうちょっと目に見えるペースで貯めたいですよね」

年収がアップするたびに生活水準を上げてしまっている?

Aさんのようなケースのほか、年収が上がるたびに生活水準を上げていってしまい、その結果として貯金できない、というパターンにハマる人もいるようです。たとえば、年収が1,000万円を超えた途端、車を買い替えた、住宅を購入した、子供の小学校・中学校受験に奥さんが熱心になった、という話はよく聞かれます。

しかし、年収が上がれば税金や社会保険料も増えます。年収1,000万円前後の場合、年収がアップしたのに体感としては依然とほとんど変わらない、むしろ苦しくなった気がするという人もいるほど。その中で、単に年収だけを見て生活水準を上げてしまうと貯金もできず、後々苦しくなることもあるようです。

1,000万円貯めるには?

では、1,000万円貯めるのにはどうしたらよいのでしょうか。貯金をしようとすれば出費を減らして貯金に回す、あるいは収入を増やして貯金への割り当てを増やす、大きくはこの2つしか方法がありません。

仮に、10年間で1,000万円貯めるという計画を立ててみたとします。そのためには1年で100万円、つまり月額9万円程度の貯金を120カ月にわたって続ける必要があります。

たとえ実家住まいとしても、月10万円の貯金をするなら社会人としてある程度年数がたたないと厳しいというのが現実ではないでしょうか。また、結婚して家族が増える段階においても容易ではないといえるでしょう。

まずはストレスがかからない程度に出費を見直していくという作業からスタートしていくのが第一歩といえそうですが、比較的若い世代であれば、収入を増やす方法がないか考えていくというのも一つの選択肢かもしれません。

世帯で考えて20代で貯金1,000万円を実現した夫婦の例

実際に「出費を減らす」「収入を増やす」という両軸で考え、20代のうちに夫婦で1,000万円の貯金に成功したという人もいます。

Bさんは大学卒業後、日系の金融機関に就職。20代半ばで結婚し、共働きを続けていました。共働きだったこともあって、Bさんは外資系企業への転職を決意。外資系企業は日系企業と比べて雇用安定という面からすればリスクが高いとはいえ、収入が増えると考えたからだといいます。

実際に、結婚して生活費が共通になったこと、共働きという環境、外資系企業への転職に踏み切って収入が増えたこと、この3つがうまくかみ合って、Bさんの場合は貯金がしやすくなり、20代のうちに貯金1,000万円に到達したのだといいます。ひとりだけで頑張ろうとせずに「世帯」として考えたことも貯金がうまく進んだ理由といえるかもしれません。

まとめにかえて

貯金をするには、まずは支出を減らすこと、そして収入を増やすこと。この両方を考えてみるとともに、世帯で見ていくということも大切といえそうです。また、給与が大きく増える期待が持てないのであれば、貯金という方法だけでなく、どのように手持ちのお金を運用していくのか、すなわち、資産形成の一手法としての投資も一緒に考えていくことが必要かもしれません。

LIMO編集部