3. 年金の手取り額は「ねんきん定期便」では分からない
さて、先程のねんきん定期便は、あくまで「見込額」になり、実際の振込額とは異なります。実際に受け取る金額は「年金振込通知書」の記載内容を確認しましょう。
3.1 年金振込通知書に記載される「老齢年金」の天引き内容と手取り額
サラリーマンが受け取る毎月の給与には、総支給と振込額に差がありますね。同様に、老後の年金にも総支給と振込額に差が出ます。
年金受給が始まると、日本年金機構から毎年6月に「年金振込通知書」が郵送されます。その記載内容を詳しく見ていきましょう。
3.2 天引きされるお金(1):年金支払額
年金は偶数月に2カ月分が支給されます。ここに記載のある金額は、あくまで各種控除を行う前の「総支給額」、いわゆる「額面」です。
3.3 天引きされるお金(2):介護保険料額
現役時代は給与から天引きされていた「介護保険料」も年金から控除されます。実際に介護サービスを利用するようになっても、介護保険料の支払いは生涯続く点に注意が必要です。
3.4 天引きされるお金(3):後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
介護保険料と同じく、後期高齢者医療保険料や国民健康保険料(税)も天引きされます。ただし、天引き対象でない場合には記載がありません。
3.5 天引きされるお金(4):所得税額および復興特別所得税額
年金に応じた所得税額および復興特別所得税額が天引きされます。社会保険料と各種控除額を差し引いた後の額に5.105%の税率を掛けた額が記載されています。
年金に所得税が課税される場合も、年金からの天引きで納税します。
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」によると、無職の夫婦世帯の場合、社会保障給付(年金)21万6519円に対し、直接税1万2109円、社会保険料1万8529円が天引きされています。
また無職の単身世帯の場合では、社会保障給付12万470円から税金と社会保険料が約1万2000円天引きされています。
3.6 天引きされるお金(5):個人住民税
所得税と同様に、個人住民税も天引きとなります。
3.7 天引きされるお金(6):控除後振込額》
ここに記載の金額が、各種控除後の実際の振込額となります。
これだけの金額が天引きされると、実際に手元にはどれくらいの金額が残るのか非常に不安になってしまうのではないでしょうか。
4. 【老齢年金】国民年金・厚生年金「みんなの額面」平均いくらか
ここからは、参考までに今のシニア世代が受け取る公的年金額を見ていきます。
2022年12月に公表された厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、男女全体・そして男女別の年金事情を見ていきましょう。
まずはそれぞれの平均月額を確認します。
4.1 国民年金・平均月額
男女全体:5万6368円
- 男性:5万9013円
- 女性:5万4346円
4.2 厚生年金・平均月額
※国民年金の金額も含む
男女全体:14万3965円
- 男性:16万3380円
- 女性:10万4686円
次では、国民年金・厚生年金それぞれの個人差や男女差も見ていきましょう。