2024年に抜本的拡充と恒久化がなされた「新NISA」。制度開始から時間が経過し、資産形成の手段としてすっかり定着した印象があります。

しかし、「投資はまとまった資金がある高年収の人向けではないか」「そもそもどんな種類の商品があるのか分からない」と二の足を踏んでいる方もいるかもしれません。

そこで今回は、日本証券業協会公表の最新データ「2025年度 新NISA開始後の利用動向に関する調査報告書」をもとに、利用者の年収割合、新NISAで買える金融商品の種類、そして実際に選ばれている人気の銘柄タイプについて詳しく解説します。

ココがポイント
  • 利用者のリアルな年収帯がわかる: 最多は年収300万円未満(39.3%)であり、幅広い層が新NISAを活用している実態を把握できます。
  • 対象となる主な金融商品の違いを整理できる: 全世界株式(オルカン)や米国株(S&P500)、バランス型などの特徴とリスクがひと目で理解できます。
  • 初心者向けの失敗しない選び方が身につく: 低コストなインデックス投資信託の活用法など、資産形成の第一歩に最適なアプローチが見えてきます。

1. 【新NISA】利用者の年収割合:最多は「年収300万円未満」で約4割

まずは、新NISAを利用している人のリアルな個人年収の分布を見ていきましょう。日本証券業協会の調査によると、年収別の割合は以下の通りです。

1.1 【新NISA利用者の年収分布】

  • 300万円未満:39.3%
  • 300万円~500万円未満:26.5%
  • 500万円~700万円未満:17.4%
  • 700万円~1,000万円未満:10.4%
  • 1000万円~1200万円未満:2.9%
  • 1200万円~1500万円未満:1.6%
  • 1500万円~2000万円未満:0.6%
  • 2000万円以上:1.2%

データを見ると、「300万円未満」が39.3%(新NISA利用者7926人のうち3118人)と最も高く、全体の約4割を占めています。次ぐ「300万円~500万円未満」(26.5%)と合わせると、この2つの層だけで全体の65.8%に達します。

利用者の平均年収は467万7000円(前回2025年1月の調査時:454万6000円)となっており、高年収帯に限らず、幅広い年収帯で新NISAが活用されていることが分かります。

2. 【新NISA】先進国、新興国…どのような金融商品があるのか

「投資を始めてみたいけれど、具体的にどのような選択肢があるのか分からない」という方向けに、新NISAで対象となる主な金融商品の特徴をまとめました。

2.1 全世界株式(オール・カントリー 通称「オルカン」等)

特徴:日本を含む(または除く)世界中の先進国・新興国市場に1本で分散投資できる商品。世界経済全体の成長を享受したい初心者に選ばれています。

2.2 先進国株式・米国株式(S&P500等)

特徴:米国をはじめとする経済基盤の固い先進国企業を中心に投資する商品。高い成長性が期待できる一方、為替変動のリスクを受けます。

2.3 新興国株式

特徴:インドやブラジルなど、今後の人口増加や経済発展が見込まれる地域に投資する商品。大きなリターンが見込める反面、価格変動(ボラティリティ)は比較的高めです。

2.4 日本国内株式(個別株・日本株投信)

特徴:身近な国内企業に直接投資できる商品。値上がり益だけでなく、配当金(インカムゲイン)や株主優待を目的とした運用に適しています。

2.5 バランス型・債券・REIT(不動産投資信託)

特徴:株式だけでなく、債券や不動産などを組み合わせてリスクを抑えた商品。値動きを緩やかに抑えたい場合に向いています。

3. 【新NISA】あなたに適した金融商品の選び方

資産運用初心者の方は、商品の仕組みが分かりやすいインデックス投資信託を選択肢として検討してもよいでしょう。

「インデックス投資信託」とは、日本の東証株価指数やアメリカのS&P500などの経済指標と同じような値動きをする商品です。

手数料が低く、1つの商品でさまざまな会社に分散投資がされているので、個別株式などに比べると、比較的リスクが低いと言われています。

インデックス投資信託の中でも、信託報酬(手数料)が低い商品かつ、多くの投資家から注目を集めている人気ランキング上位の商品(オルカンやS&P500)であれば商品に関する情報も多く、より安心して投資を続けられるかもしれませんね。

さらに、インデックス投資信託の投資先として、アメリカや日本などの先進国の方が、ブラジルや中国などの新興国に比べて、ローリスクローリターンだと言われています。

少しリスクをとりながら大きな利益を狙いたい方は、新興国のインデックス投資信託と先進国のインデックス投資信託に分散投資をしながら保有するのがおすすめです。

インデックス投資についてより詳しく知りたい方は、関連記事「【2026年比較】オルカンとS&P500はどっちを選ぶべき?運用実績の違いとあなたに合う投資法」もあわせてご覧ください。

4. 【新NISA】つみたて投資枠・成長投資枠で実際に買われている銘柄は?

多様な金融商品がある中で、実際の利用者はどのタイプを購入しているのでしょうか。日本証券業協会の最新データをもとに、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」それぞれの購入傾向を見ていきます。

2025年中の新NISAにおける購入銘柄のタイプ2/2

2025年中の新NISAにおける購入銘柄のタイプ

出所:日本証券業協会「2025年度 新NISA開始後の利用動向に関する調査報告書」

4.1 【つみたて投資枠】一番人気は「全世界株式」

長期・積立・分散投資に適した公募投資信託が対象となるつみたて投資枠では、広範囲に分散できるインデックスファンドが主流です。

【つみたて投資枠における購入銘柄】

  • 投資信託(インデックス型)全世界株式(日本を含む):34.2%
  • 投資信託(インデックス型)米国株式:24.0%
  • その他の銘柄タイプ:17.0%
  • 投資信託(インデックス型)全世界株式(日本を除く):15.6%
  • 投資信託 日本国内株式・債券・REIT:5.5%
  • 投資信託(アクティブ型)全世界株式(日本を含む):2.4%
  • 投資信託(わからない)全世界株式(日本を含む):1.3%

つみたて投資枠では、「全世界株式(日本を含む)」が34.2%でトップ。次いで「米国株式」(24.0%)、「全世界株式(日本を除く)」(15.6%)と続いており、世界全体や主要国に広く分散投資するスタンスが定着していることがうかがえます。

4.2 【成長投資枠】約半数が「日本国内株式」を選択

上場株式や幅広い投資信託が買える成長投資枠では、つみたて投資枠とは異なる傾向が見られます。

【成長投資枠における購入銘柄】

  • 日本国内株式:48.2%
  • その他の銘柄タイプ:32.2%
  • 投資信託(インデックス型)全世界株式(日本を含む):14.7%
  • 投資信託 日本国内株式・債券・REIT:2.5%
  • 投資信託(アクティブ型)全世界株式(日本を含む):2.0%
  • 投資信託(わからない)全世界株式(日本を含む):0.5%

成長投資枠において購入された銘柄のうち、約半数にあたる48.2%が「日本国内株式」となっています。個別の国内企業を応援したい層や、配当金獲得を目指す層にとって、成長投資枠が効果的に活用されていると考えられます。

5. 「老後資金」づくりに遅すぎることはない! 新NISAの利用も検討して

投資についての知識をつける労力などがネックにはなりますが、労働以外の方法でお金を増やせる点は魅力といえます。

慣れていない人にとってお金を動かす「資産運用」は難しそうに見えるもの。しかし、いくつかの重要なポイントを押さえれば、証券会社選びや商品選びも簡単に行えます。

投資信託だからといって必ず値上がりするとはいえませんが、長期間運用を続ければ安定的な資産の増加が期待できるでしょう。

しかし、日常生活を脅かすほどの投資はライフプランを崩しかねません。何事もバランスが大切です。

少額からでも、できるだけ早いうちから投資を始めていき、購入のタイミングを分散するように心がけるのがよいかもしれません。

長期間運用を続けた効果について知りたい方は、長期積立をシミュレーションした記事「新NISAで毎月5万・10万円積み立てるといくら?シミュレーションと見落としがちな罠とは?長期投資で失敗しないための実務的な防衛策」をご覧ください。

6. 本記事の監修を終えて:新NISAで資産運用を行う元FP会社職員の監修者コメント

監修者画像
下村 美乃莉

新NISA利用者の平均年収は、国税庁の最新データ(令和6年分 民間給与実態統計調査)における日本の平均年収478万円とほぼ同水準となっています。このデータからも明らかなように、新NISAは決して高所得者だけのものではありません。非課税期間の無期限化や年間投資枠の拡大など、制度刷新によって大幅に使い勝手が向上したことが、一般的な世帯への急速な普及を後押ししたと言えるでしょう。

本記事では初心者向けに再現性の高い「インデックス投資」を中心に紹介しましたが、より大きなリターンを狙いたい方には「アクティブ運用(アクティブ投資)」という選択肢もあります。

私自身はアクティブ運用を選択して運用していますが、アクティブ投資には「信託報酬(手数料)が高め」というデメリットが存在します。手数料が高くなる理由は、専門のファンドマネージャーやアナリストが緻密な企業調査・市場分析を行い、市場平均を上回る成績を目指して銘柄の選定や売買を頻繁に行うため、それに伴う人件費やリサーチ費用などの運用コストが加算されるからです。

大切なのは、最初から1つの手法に絞り込むことではありません。まずはどのような金融商品や運用スタイルがあるのかを把握し、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解した上で、ご自身の目的やリスク許容度に合わせた商品を選択していきましょう。

参考資料

LIMO編集部NISA解説班