2024年度の年金額が公表されました。

国民年金の満額は月額6万8000円、厚生年金(モデル世帯の夫婦2人分)は月額約23万です。

ひとりで月に20万円の年金受給は多い方といえるでしょう。

そこで、月に20万円もらうには、現役時代にいくら稼げばいいのか、年金額から年収を出してみたいと思います。

計算方法の解説と、一目でわかる「厚生年金の早見表」も用意しました。

年収アップを目指して、将来の年金額も増やしていきましょう。

1. 月20万円の年金をもらっている人はどのくらいいる?

厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給権者の平均年金月額は14万3973円となっています。

男女別にすると、男性16万3875円、女性10万4878円です。

月額20万円(20万円~21万円)受給している人は、男性で73万5334人、女性で2万3752人、あわせて75万9086人となっています。

厚生年金の平均月額(男女別)

厚生年金の平均月額を男女別に紹介

出所:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

グラフでみてみると、男性は17万円~18万円が最も多いことからわかるように、20万円も比較的多くいます。

女性の場合はボリュームゾーンが9万円付近ということもあって、20万円受給できる人は非常に少ないことがわかります。

厚生年金は基礎年金に、給料の平均額と加入年数も基づく報酬比例部分が上乗せされて支給されるため、男性と比較すると、結婚や出産でキャリアが中断され、収入が減ってしまう傾向がある女性は、厚生年金の受給額で男性と大きく差がついてしまっています。

全体の平均が14万3973円なので、月額20万円受給できる人は、年収が高めであることが予想できます。

2. 月20万円の年金をもらっている人の年収は?

現役時代にどのくらいの給料をもらっていれば、月20万円の年金が受給できるのか、計算によって導き出してみましょう。

厚生年金の報酬比例部分の計算式は以下となります。

(1) 2003年3月以前=平均標準報酬月額×7.125/1000×「2003年3月以前の月数」
(2) 2003年4月以後=平均標準報酬額×5.481/1000×「2003年4月以後の月数」
(1)+(2)=厚生年金の年金額(報酬比例部分)

※7.125/1000および5.481/1000は、1946年4月2日以後生まれの人の乗率です。

平均標準報酬月額は月給の平均額を意味し、平均標準報酬額は賞与も含めた月給の平均額です。

2003年4月を境に給与の計算方法が変わったため、このように分けて計算します。

ここでは簡略化して、2003年4月以後の計算式のみを使って計算します。

<条件>

  • 厚生年金に40年間加入
  • 老齢基礎年金の満額を80万円とする
     
  • 厚生年金の報酬比例部分=240万円(月20万円)-80万円=160万円
  • 平均標準報酬額×5.481/1000×480月=160万円
  • 平均標準報酬額=約60万8162円=62万円(31等級)
  • 62万円×12ヵ月=年収744万円

年収が約744万円であれば、厚生年金を月20万円受給できることがわかりました。

ここでは賞与は考慮していませんが、仮に年間の賞与が月給の3ヵ月分だとすると、月給は約49万6000円となります。