3. 標準的な夫婦が「年金約46万円」も支給される理由とは
冒頭にて、標準的な夫婦の合計年金は約46万円であるとお伝えしました。この理由を探るには、まず年金支給のスケジュールを知る必要があります。
年金支給日は偶数月の15日(土日祝日の前は直前の営業日)であるため、6月14日には4月、5月の2か月分が振り込まれます。
つまり、23万483円×2=約46万円が振り込まれるのです。(そのため、4月15日支給の年金はまだ2023年度分です)
こちらの年金は「夫婦2人分」「2か月分」である点に注意しましょう。
「振り込まれる年金が夫婦合計で約46万円」と聞くとうらやましく思えますが、あくまでも2か月分の年金であるため、月額あたりにすると余裕のある水準とも言い切れません。
さらに、年金からは税金や保険料が天引きされます。実際に振り込まれる金額はもっと少なくなる点にも注意が必要です。
4. 実際に支給された「厚生年金と国民年金」の平均月額
厚生労働省の発表は特定の条件をもとにしたモデル例なので、実態の把握が難しいでしょう。
厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(老齢基礎年金を含む)、国民年金の支給額平均は以下のようになります。
4.1 厚生年金の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
4.2 国民年金(老齢基礎年金)の受給額
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
なお、厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況」によると、「公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%」の世帯はたった44%です。
残りは稼働所得や財産所得、仕送りや個人年金などで補填しているため、それぞれの老後対策が必要になるでしょう。
「夫婦の年金が46万円程度」と聞くと高額に思えるものの、その理由がわかると納得1回あたりの年金額は高額に思えますが、実際には年金だけで暮らすことは難しいようです。
さらに重要なのは、平均額が全員にあてはまるわけではないことです。それぞれの働き方や保険料の納付実績によって年金額が大きく異なるため、ねんきん定期便やねんきんネットなどでしっかり目安額を把握するようにしましょう。
5. 老後の対策を考える
今回は年金制度や標準夫婦の受給額について見てきました。年金受給額は約46万と見かけ上は多いように感じます。しかしながら解説した通り、これは2か月分の年金であり、1か月の受給額に換算するとやはり心もとなさはありますね。
しかも、ここから税金や保険料が引かれるので手取りだとさらに少なくなります。
なお、この金額も目安の金額であることから世帯によって受給額がさらに少なくなります。
そう考えると年金だけに頼った生活をするのは少し難しい可能性も。年金とは別の老後資金を準備することが非常に重要だと言わざるを得ませんね。
老後資金として、貯蓄を新たに始めるのもいいですし、コツコツつみたて投資を行うのもおすすめです。投資に関しては預貯金と異なり元本割れのリスクもあります。まずはご自身で情報収集を行い、自分に合った運用方法を探してみてはいかがでしょうか。
2024年から新しくなったNISA制度やiDeCoなどの制度を活用していくのもよいと思います。
参考資料
奥田 楓也