今年の1月19日に2024年度の年金額が発表されました。
昨年に引き続き、物価の上昇、現役世代の賃金の上昇もあったことで、年金額も前年に比べ増加しています。
年金額は6月支給分(4月分・5月分)から改定されますが、物価の上昇が大きく、年金額は物価に追いついていないのが現状です。
詳細の金額は、6月上旬頃に届く、年金額改定通知書をご確認ください。
年金額には改定のルールがあり、物価の変動率や名目手取り賃金変動率に応じて、毎年度改定を行う仕組みとなっています。
物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合は、支え手である現役世代の方の負担能力に応じた給付とする観点から、名目手取り賃金変動率を用いて改定するように法律で定められているのです。
具体的には、令和6年(2024)度の年金額は、名目手取り賃金変動率を用いて3.1%の改定がありますが、同年のマクロ経済スライドによる調整があるため(△0.4%)、改定率は2.7%となります。
- 3.1%(名目手取り賃金変動率) + △0.4%(マクロ経済スライド) = 2.7%(年金額改定率)
詳しくみていきましょう。
1. マクロ経済スライドとは?
マクロ経済スライドとは、公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づき、スライド調整率を設定し、その部分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するものです。
2004年(平成16年)の年金制度改正によって導入されました。
賃金や物価による改定率がプラスの場合、この改定率から、現役世代の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出された「スライド調整率」を差し引くことによって、年金の給付水準が調整されるのです。
※マクロ経済スライドの未調整分とは、マクロ経済スライドによって前年度よりも年金の名目額を下げないという措置を維持した上で、調整出来ずに翌年度に繰り越された未調整分です。この調整分は将来世代に持ち越さないように、できる限り早期に調整することで将来世代に負担をかけないこととなっています。
スライド調整率 = 公的年金被保険者数の変動率(2〜4年度前の3年間の平均) × 平均余命の伸び率