2. 若い人や現役世代に年金の「マクロ経済スライド」は関係するのか?
このマクロ経済スライドについて計画的に調整をすることで、将来世代の年金の給付水準を確保することにつながっています。
物価が上昇しており、年金受給者の生活を維持するために年金額も増やすことで、年金受給者の生活を安定することが出来るのです。
年金受給者の安定も大事ですが、現役世代の方は、現在は保険料の納付をしていますが、将来、年金をもらう世代になった時に年金をしっかりともらえるように、毎年、計画的にマクロ経済スライドを調整しているのです。
現在の厚生年金保険料は、2004年から2017年9月まで段階的に少しずつ上昇し、18.3%が保険料率になっています。
実際にはその割合を労使折半し、企業と従業員が9.15%ずつ負担しています。
毎月の給与からも賞与からも厚生年金保険料として算出され、給与明細書、賞与明細書に記載されています。
また、年金受給者の年金額を増やすために、現役世代の方の保険料だけを増やすわけにはいきません。
現役世代の方の保険料を増やすわけにはいかないので、受給者側の年金額を調整しているのです。
3. まとめにかえて
ここ数年、物価が上昇し続けており、「デフレ脱却宣言」が出るのも近いかもしれません。
物価が上がっても、賃金や年金が同時に、同じくらい上がり続ければ問題ありません。
今、現役で働いておられる方は、将来年金がもらえなくなるかも、減らされるのではないか、と感じていると思いますが、国も将来の公的年金の財政検証を行い、年金制度を維持しています。
漠然とした不安もあるかとは思いますが、毎年の年金額はしっかりとした裏付けがあり、調整率という形で年金額の調整がされているのです。
現役世代の方は「ねんきん定期便」を見ても、すぐに年金を貰い始めるわけではないので、マクロ経済スライドなど気にすることはないと思いますが、いざ年金をもらい出す頃には、年金額が増えた、減ったというのは気になることです。
年金制度は改正が多く、専門家であっても難しいものです。
多くの方の老後の収入の、中心的役割のため、長く続くように設計されていますが、今後も、より長く続く安心できる制度にしてほしいですね。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「いっしょに検証!公的年金 第07話 給付と負担をバランスさせる仕組み」
- 日本年金機構「マクロ経済スライドとはどういうものですか。」
- 日本年金機構「厚生年金保険料額表」
香月 和政