2. お墓のトラブルその2「立地がヤバい!」

見晴らしがいいお墓、でもたどり着くまでが大変……。

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「昔の人は、どうしてこんなに通うのが大変な場所ばかりを選んで、お墓を立てたのだろう」

葬儀社勤務時代、納骨や墓じまいの相談を受ける際によく感じていたことです。

昔から守られてきたお墓は、山の中の見晴らしがよい場所に建てられていることが多くあります。

亡くなってからも見守ってほしい、生まれ育った土地をよく眺められるように、といった思いからその場所がお墓として選ばれたのかもしれませんね。

しかし、若い人ならまだしも、高齢化が進んだ現代において、高齢者が通うには辛すぎる場所に建てられていることが本当に多いのです。

葬儀屋の若手社員たちも思わず、「こんな急な坂を上るの?」とため息をつくような傾斜地の上にお墓があることも。また、昔作られた道なので車は途中までしか入れず、最終的には歩いてお墓までたどり着くしかありません。

2.1 「そりゃ墓じまいしたくなるわなぁ…」

でも、お墓参りって手ぶらでは行きませんよね。法事やお彼岸、お盆のお墓参りには、お花にお線香、お供え物にお水と、荷物が盛りだくさんです。

それらを持って、法事の後は革靴で、急勾配で足場の悪い坂道をみんなで上っていかねばならないのです。「そりゃ墓じまいを進めたい気持ち、わかるよなぁ」と思ってしまいます。

よくよく考えてみると、昔の人は今ほど平均寿命が長くなかったですよね。歩くのが辛くなるほど長生きをしている方が少なかった、というのもあるかもしれません。

現代のように車や重機もなく、移動手段はもっぱら自分の足でした。そう考えると、この立地は一番にご先祖様のためを思って選んだのだろうと腑に落ちるわけです。

2.2 ヤバい……。イノシシにお墓を荒らされた!?

立地のせいで、お墓自体がトラブルに見舞われることもよくあります。

実際の例として、山の中にあるせいで、成長した木の根によりお墓が傾いたり、長雨のせいで、お骨を収納するカロート部分が水浸しになっていたことがありました。

もちろん骨壺の中も悲惨な状況です。

イノシシに荒らされてしまい、お墓が倒れていたことも過去にありました。そこは昔のお墓で、現代よく見るようなしっかりした作りのお墓ではありません。

小さな墓石が、それぞれの故人様のお墓に設置されている場所でした。山の中で生活する獣が増えた結果、お墓を荒らされる例は増えました。

そのような立地で管理が難しい場合には、墓じまいやお墓の移動を検討する良い機会かもしれません。