今年の大学入学共通試験も大きなトラブルが生じることなく終りました。
大学受験シーズンまっただなか、春からの進学先が決まって安心している方や、自分の進路について再度検討している方も多くいます。
親御さんにとって我が子の大学で学びたいという志や、志望大学に向かって努力する姿は嬉しいものです。
その一方で、大学進学費用は頭を悩ます問題となります。「我が子のために出費を惜しみたくないものの、現実問題としては親がどこまで大学の学費をカバーするべきなのか?」という疑問を抱いている方もいるはずです。
現代の日本においては大学の進学費用は本人(進学者)ではなく、各世帯の問題としてみなされる傾向にあります。
昨年末頃、「3人以上の子どもを持つ世帯の大学の授業料などの無償化」(2025年から開始予定)を進めていく方針が発表されましたが、この政策にも大学の学費は本人ではなく、親が支払うことが念頭に置かれているように思われます。
一方、日本よりも大学の学費が割高なアメリカでは、子ども自らが奨学金や学資ローンを含めて支払うのが一般的です。
本記事では大学生の学費を含めた生活費の目安を確認した上で、現代の大学生のアルバイト事情や50歳代の貯蓄額などについて見ていきましょう。
1. 大学生の学費を含めた生活費はおよそいくら?
独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査報告」は居住形態別に学生生活における支出状況(月間)を明らかにしています。
月額、年間、4年間における合計額は以下の通りです。
【自宅】
- 月額:13万3458円
- 年間:160万1496円
- 4年間:640万5984円
【学寮】
- 月額:16万1933円
- 年間:194万3196円
- 4年間:777万2784円
【アパート等】
- 月額:17万9249円
- 年間:215万988円
- 4年間:860万3952円
上記の金額はあくまでも目安です。
大学在籍期間の支出金額をもっとも大きく左右するのは学費になります。
例えば、授業料は国立大学であれば一律で年間53万5800円になります。
一方、私立大学は大学ごとに大きく異なり、文系は年間100万円前後、理系は年間180万円前後、医学系は年間300万円以上かかることも珍しくありません。
また、住居費も生活費に大きくかかわってきます。例えば、東京都の場合、都心から電車で30分以内、かつある程度きれいな物件であればワンルームでも7万円前後かかります。
一方、地方エリアであれば、3〜4万円前後できれいなワンルームを借りることも可能です。
2. 大学生の収入額の半分以上が「家庭からの給付」
同調査では、大学生の収入額の半分以上が家庭からの給付であることが明らかにされています。
【図表3】では、国立、公立、私立のいずれにおいても「家庭からの給付」が収入の半分以上を占めています。
特に、国立と私立においては「家庭からの給付」は6割近くと高い結果でした。
一方、「奨学金」が収入に占める割合は2割前後、「アルバイト」が占める割合も2割前後となっています。
「奨学金」「アルバイト」を合算すると、収入の半分程度になります。
2.1 4割程度の大学生がアルバイトをしなければ就学の継続が難しいかもしれない
続いて同調査より、学生のアルバイト事情を見ていきましょう。
【図表4】では、アルバイト従事者のうち「家庭からの給付のみで修学可能」な学生がもっとも多い結果になっています。
家庭からの給付だけでも学べるものの、交友費、食費、趣味などに充てる費用などは自分で稼いでいる学生が多いのでしょう。
一方、「家庭からの給付のみでは修学に不自由」と「家庭からの給付のみでは修学継続困難」をあわせると、全体の3割程度になります。
また、「家庭からの給付なし」を含めると、4割前後が自分自身のアルバイト代を大学生活を送る上で不可欠としていることが分かります。
大学生のアルバイトは「社会経験」としてみなされることもありますが、現実は多くの学生にとって大学での学びを継続し、自身の生活を維持する上で不可欠なものとなっています。