今年は辰年。干支のとおり、昇り龍のように勢いがあり、すべてのことで活気あふれる年になっていくことを期待したいですね。
良いニュースに勢いがほしいところですが、いま勢いよく上昇しているのが物価です。食料品などの価格の変化は落ち着く気配がありません。
これを受けて自治体ごとにさまざまな救済措置が取られています。電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金の支給がひとつに挙げられます。
現在「住民税非課税世帯」に7万円の現金給付が進められていますが、この「住民税非課税世帯」とはどのような世帯をさすのでしょうか。
また、高齢者における住民税非課税世帯の割合が高いようですので実態を確認してみましょう。
1. 「住民税非課税世帯」とは?
「住民税非課税」とは、その名の通り「住民税が課税されていない」状態をさします。
住民税は前年の所得をもとに決定されるため、「今は稼いでいても昨年は無職だった方」「収入は低いが資産は多い方」が該当する場合もあります。
なお、生計を一にする家族の中に住民税が課税される人がいる場合には住民税非課税世帯に該当しません。
また、住民税は所得割と均等割から成りますが、この両方が課税されないときに住民税非課税となります。
冒頭で申し上げたとおり、現在、住民税非課税世帯への7万円給付が進められていますが、2023年12月に均等割のみ課税されている世帯にも給付金として10万円が支給されることになり、こちらも各自治体で手続きが進められています。
2. 住民税非課税になる年収の目安はいくら?
では、住民税が非課税になる年収の目安はいくらでしょう。
実は住民税非課税世帯になる条件は、自治体によって異なります。
ご参考までに、東京23区の「所得割」と「均等割」が非課税になる条件を確認してみましょう。
- (1) 生活保護法による生活扶助を受けている方
- (2) 障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
- (3) 前年中の合計所得金額が下記の方
<同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合>
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
<同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合>
45万円以下
前年の合計所得金額が45万円以下であれば、扶養家族の有無にかかわらず非課税になります。
上記の条件を見るとお分かりのとおり、住民税非課税になる年収は居住地や収入の種類、家族構成等複数の要素によって決まるため、詳しい情報はお住いの自治体ホームページや窓口などでご確認ください。
3. 70歳代は35%が住民税非課税世帯に該当
住民税非課税世帯になる要件を確認しましたが、実際には高齢者世帯が多くを占めると聞いたことがあるかもしれません。
年金生活になれば収入は下がることが一般的であるため、確かに高齢者が多い現状があります。
厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」によると、年代別の住民税非課税世帯の割合(全世帯に占める住民税非課税世帯の割合)は次の通りとなりました。
- 60歳代:19.2%
- 70歳代:34.9%
- 80歳代:44.7%
年代が高くなるごとに住民税非課税世帯の割合が増えていることが分かります。
高齢者世帯の収入の軸となるのが「国民年金」や「厚生年金」です。
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢年金の平均月額は厚生年金(基礎年金含む)で14万3973円、国民年金で5万6316円です。
70歳~79歳においても厚生年金で14万円台、国民年金で5万円台となっています。
平均的な年金収入があれば住民税非課税世帯には該当しないかもしれません。しかし、保険料の未納などにより年金額が平均を大きく下回る場合には、住民税非課税世帯に該当するでしょう。
年金収入だけでは老後生活が厳しくなることを想定し、現役時代から資金を蓄えている世帯もいます。
なお、住民税非課税世帯の条件には「金融資産保有額」が含まれません。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」から貯蓄額について見ていきましょう。