2018年2月16日に日本証券アナリスト協会で開催された、株式会社ガイアックス2017年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:株式会社ガイアックス 執行役 野澤直人 氏
株式会社ガイアックス 代表執行役社長 上田祐司 氏
2017年12月期 振り返り
野澤直人氏:それでは2017年12月期の決算について、私野澤からご説明をさせていただきます。
連結業績は売上高が59億8,100万円となり、過去最高の売上高を記録しております。一方で、新規事業への先行投資によりまして、営業利益はマイナス9億3,900万円の着地になっております。
セグメント別に申し上げますと、売上を着実に積み上げる事業モデルである(資料の)上から2つ目のソーシャルサービス事業は、売上高・営業利益ともに積み上げ、前年同期比プラスとなっております。
一方で、その下の受託開発事業も、単独でセグメントを構成する株式会社電縁が、昨年(2017年)11月15日付で連結から外れております。そのため約1.5ヶ月間に渡る売上を計上していないということから、売上高・営業利益とも、前年同期比マイナスに着地しております。
また、事業が大きくスケールすることで、初めてリターンを得るモデルとなっているインキュベーション事業、(資料の)いちばん下のところですけれども、先行投資によりまして、営業損失を計上しているという構図になっております。
連結売上高の推移
次に、連結売上高の推移です。
四半期ごとの推移となっております。2017年度も引き続き過去最高の売上高ということで、ここ数年続いている右肩上がりのトレンドは継続しておりまして、順調に売上を伸ばしているといった状況です。
2018年度は、電縁およびアディッシュという中間子会社が連結から外れるんですけれども、既存事業においては、引き続き右肩上がりのトレンドを継続していくと予想をしております。
連結営業損益の推移
次が、連結営業損益の推移です。年度別の営業損益の推移になります。
先ほども少し触れましたが、当社では3つある事業セグメントを、2つに大別しております。
ソーシャルサービス事業と受託開発事業、こちらは売上も着実に積み上げる事業モデルとなっておりまして、この2つをまとめて「安定成長事業グループ」と呼んでおります。
一方、この安定成長グループに対応するかたちで、インキュベーション事業のセグメントを、費用先行かつ事業が成功すればリターンが非常に大きいということから、「戦略的成長事業グループ」と呼んでおります。
この2つは、事業グループごとに非常に特性・成長のモデルが異なるということも承知いただきつつ、こちらのグラフを見ていただきたいんですけれども。
ソーシャルサービス事業および受託開発事業が所属する安定成長事業グループは、先ほども少し申し上げました、子会社の電縁が連結から外れたことで、受託開発セグメントも計上が10.5ヶ月分となっておりますが、それでも前年同期比で8.1パーセントの営業利益増となっております。売上の着実な積み上げが、営業利益にも反映されたかたちとなっております。
一方で、インキュベーション事業に属する戦略的成長グループは、2016年度よりも早いペースで営業損失を計上しておりますけれども、今年をピークとして、2018年度以降はバランスを保っていくという予定になっております。
連結営業損益の増減要因 販管費内訳
次に、連結営業損益の増減につき、品目ごとに分解した表がこちらになります。
売上高は安定成長事業グループの貢献により増加しておりまして、それにともない売上総利益も引き上げられました。
この中で、「売上原価が少し多いな」という印象を受けられるかと思うんですが、この売上原価により、1億4,300万円は営業投資有価証券の減損によるものでございます。
他方、主に戦略的成長事業グループへの先行投資として、人件費等が増加しておりまして、営業損益は前期比マイナスに着地しているというような内容になっております。
2017年12月期 連結PL
こちらが連結のPLです。
簡単に数字を読み上げますと、売上高が59億8,100万円、売上総利益が17億5,500万円、販管費が26億9,400万円、営業損失が9億3,900万円、経常損失が9億7,600万円、当期純損失が6億5,400万円です。
2016年度と比較していただきますと、売上高が過去最高を記録している一方で、原価および販管費の増加によりまして、営業損益が拡大しているといったような状況です。
一方で、子会社の株式会社電縁の株式を売却したことで、特別利益が発生していまして、当期純利益はその分縮小しているということになっております。
2017年12月期 連結B/S
こちらが、2017年の12月期末の連結のバランスシート、BSになります。
子会社の電縁が連結除外になった影響から、内容が大きく変更しております。流動資産が大きく減少しているんですけれども、それに一定に比例するかたちで、流動負債・固定負債も減少しているといったような状況です。
安定成長事業グループ 連結売上高の推移
次に、事業グループ別の業績についてご説明いたします。
まず、安定成長事業グループの売上高の推移です。一貫して右肩上がりを描いているというのが、おわかりいただけるかと思います。
安定成長事業グループ 連結営業利益の推移
次が、安定成長事業グループの連結営業利益の推移です。
こちらは、年ごとの差はありますけれども、増加傾向にあるというところがご確認いただけるかと思います。
戦略的成長事業グループ 連結営業損益の推移
次が、戦略的成長事業グループの連結営業損益の推移です。
こちらはご覧いただいた通りで、先行投資によりまして、営業損益が増加しております。
こちらの事業グループでは、事業内容とポートフォリオの組み替えを実施しておりまして、2017年が投資のピークにあたると考えております。
引き続き、事業の爆発的な成功を狙いまして、こちらのグループでは事業への注力を加速しているということです。
子会社2社の連結除外の影響と今後の展望 売上高
引き続きまして、子会社2社の連結除外の影響と今後の展望です。
何度か申し上げておりますが、子会社の電縁とアディッシュという会社を、連結から除外いたしまして、2018年度からその影響が出てまいります。
具体的には、受託開発事業セグメントが電縁なんですが、この電縁の売上高の23億2,100万円がなくなります。一方、アディッシュが連結から外れたことで、ソーシャルサービス事業セグメントの売上につきましても、18億1,500万円が連結からなくなることになります。
しかし他方では、先ほど申し上げましたとおり、ソーシャルサービス事業の既存事業については引き続き成長しておりますし、アディッシュ株式会社は連結からは外れるんですが、こちらの株式はインキュベーション事業の営業投資有価証券へと置き換わりますので、当社の売上高の展望としては、引き続き成長が期待できると考えております。
子会社2社の連結除外の影響と今後の展望 営業利益
次は同じく、子会社2社の連結除外の影響と今後の展望の、営業利益に関してご説明します。電縁とアディッシュが連結から除外になる影響で、受託開発セグメントでの営業利益の6,000万円がなくなります。ソーシャルサービス事業セグメントの営業利益についても、アディッシュの1,600万円がなくなることになります。
ソーシャルサービス事業セグメントを構成する既存事業は、売上高の増加に一定比例するかたちで、今後も営業利益は成長していくものと考えております。また、インキュベーション事業セグメントの営業損失は、相対的には非常に大きいものではあるんですけれども、投資は今年度をピークとして収支が安定していくと予想をしております。
今後の見通し
最後に、今後の見通しです。今後の見通しにつきましては、決算短信の内容と同じでございまして、また先ほどまで申し上げている説明と重複するところもありますので割愛とさせていただいて、スライドをご確認いただきたいと思います。
私からは以上です。
事業戦略
上田祐司氏:続きまして、事業戦略についてご説明します。私どもは、人と人をつなぐというミッションを掲げておりまして、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミーを推進しています。また、こういったものを作り出すための「スタートアップスタジオ」という概念に基づいた組織構成にしています。
ミッション達成のための2つの戦略①
まず、一番上のソーシャルメディア事業・シェアリングエコノミーの関連サービスについて、ご説明させていただきます。
創業からの事業領域の変化
創業のときから、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー両方の要素を持っておりまして、創業直後は左上の、ソーシャルメディアの自社サイトを運営しておりました。こういった自社BtoCサイトをもとにした結果、後々BtoBビジネスとしてSNSの運用代行ですとか、ソーシャルメディアマーケティングのビジネスに推移してきたかたちになります。
2015年に、シェアリングエコノミーやスマートフォンが普及するにあたりまして、ネットだけで完結する人と人のつながり、すなわちソーシャルメディアから、リアルも含めて人と人がつながっていくシェアリングエコノミーの事業へと変化しております。
2015年から、シェアリングエコノミーのBtoCのサービスを、いくつか立ち上げております。また投資も、20社近くやっております。そして2017年、シェアリングエコノミーをやっているプラットフォーマーに向けたBtoBのビジネスも、少しずつ積み上げてきているというのが現状です。
事業戦略 シェアリングエコノミー
シェアリングエコノミーに関して、1ページ飛ばして23ページをご覧ください。
現在、ソーシャルメディアサービス事業ということで、いかに効率的にBtoCのサービスを立ち上げるのかということについて、プロ集団を作りました。ソーシャルメディアやシェアリングエコノミーのプロにサービスを提供してるんですが、それが左側です。ソーシャルメディアサービス事業、BtoBです。
そして(右側の)シェアリングサービス事業、青色でございますが、こちらは自社でやっているBtoCもしくはCtoCのサービスでございます。当然、グループ内でプロフェッショナルチームにアドバイスしながら、拡大していくかたちになります。
ミッション達成のための2つの戦略②
続きまして、当社はスタートアップスタジオというコンセプトで、組織構成を作り出しております。このスタートアップスタジオについて、ご説明していきたいと思います。
創業以来、事業・起業家の輩出に注力
もともと私どものグループは、非常にアントレプレナーシップあふれるメンバーが入社してきておりまして、「いかに世の中に対して大きなインパクトを与えるのか」という事業を作るところを志しているメンバーが、非常に多いです。
事業戦略 スタートアップスタジオ①
その中で、そういったメンバーが会社を退職するときに我々から出資をしたり、はたまた社内の事業を担っている事業責任者に対して、その事業の株を持っていただいたりする。つまり、このカーブアウトという制度を作ってまいりました。
事業戦略 スタートアップスタジオ②
スタートアップスタジオというのはどういうビジネスモデルなのかということを、簡単にご説明させていただきます。もちろん、ベンチャーキャピタルであったりアクセラレータだったりというビジネスモデルがこれに近いというのは、事実ではございます。
ただ、ベンチャーキャピタルですとかアクセラレータは、どちらかと言いますと、「行けるかな」と思える会社を見つけてきて投資をします。それに比べますと、我々(のスタートアップスタジオ)はどう違うのか。
1つは、社内で「いける」「事業を作りたい」という創業者タイプの人間を採用してきます。卒業生や周りの起業家と触れあう中で彼らは成長し、事業ノウハウを身につけていただいて、社内のリソースを使って事業を作っていきます。
結果的には、あるタイミングでそういった事業家……社内の社員なんですが、事業家に対して子会社社長になってもらい、株を経費に対して、3割ぐらい付与する。場合によれば3割・4割・5割の計算ですが、株を付与してもらう。そのまま株を持って、外部からの投資を受けて上場していく。外部からの投資を受けた段階で、スタートアップスタジオとしては卒業していくかたちでございます。
社内で作り上げていくためにも、我々社内の中にプロフェッショナルチーム……マーケティング・開発・デザイン・UI・UX。こういったプロフェッショナルチームを社内に抱えておりまして、そういった人間が、複数のプロジェクトに関わっていくかたちになる。
ですので、通常のベンチャーキャピタルさんは、だいたい出資されて1割~2割の株を取れれば御の字という相場観でございますが、我々はだいたい4割から5割ぐらいの株を取得する。社内の事業ですから当たり前なんですけれども。そういった比率でございます。
優秀な人材を採用して、中で事業を作っていき、そしてカーブアウトして外部資本を導入して、上場時にまたキャピタルゲインの収入みたいなものの取得をしていくというサイクルになってございます。
カーブアウトオプション制度
実際に、カーブアウトの制度の活用例としては、App Bankという会社が、もともと社内の事業部でございましたが、土地の段階で、代表である村井(智建氏)……「マックスむらい」で有名でございますが、村井。あとApp Bankの現社長の宮下(泰明氏)に株を渡して、外部から資本を入れて、その後上場したというかたちがございます。
このようなかたちで、メンバーに最大50パーセントのストックオプションを付与しながら、成長を加速していきます。
アディッシュ株式会社は外部資本活用でさらなる成長を加速へ
今年、アディッシュ株式会社が連結から外れましたが、こちらもまったく同じ枠組みで進めております。持株比率としては、ガイアックスで現在アディッシュの株式の65パーセントを取得しております。
つまり、35パーセントが経営陣ならびに今回投資をしてきた投資家が持っているわけでございますが、「65パーセントであれば、連結に入るのではないか?」という考えもあるんですが。我々はより投資家……スタートアップスタジオは、連結としての売上を上げていくというコンセプトよりかは、株を将来たくさん寄与して売却して、それを利益にするという考え方でございます。
そういったことを総合的に考えますと、連結除外が適切なのではないかということを会計と話しまして、このような結論になっております。
我々としましては、株価を見ながら株を売却していくという方針でございますし、最終的に全株を売るかどうかも、もちろん未定でございます。それは状況を見ながら判断していきます。
(資料の)30ページ以降は、グループの定性情報でございますので、また追ってご覧いただければと。以上で、私からのご説明は終わらせていただきます。