「老後、うちは年金だけで生活できるだろうか」「老後の家計が赤字になるとしても、月いくらくらい不足するの?」など、老後生活に関しては漠然とした悩みを抱える方も多いでしょう。
総務省が公表した「家計調査報告 家計収支編2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の月の赤字は「3万7916円」です。
ただし、これは平均的な年金などの収入と、生活費や税金、社会保険料などの支出から試算されたもので、実際には家庭差があります。
では、現代の「平均的な65歳以上の夫婦のみ無職世帯」は、月にどれくらい年金収入があり、また食費や光熱費、税金、社会保険料などを支払っているのでしょうか。
今回は60歳代・二人以上世帯の貯蓄額と、現代シニアの厚生年金と国民年金の平均月額を紹介したあと、最後に「平均的な65歳以上の夫婦のみ無職世帯」の家計収支について、その内訳を項目ごとに詳しくみていきます。
1. 【60歳代の夫婦世帯】平均貯蓄額はいくら?中央値との差は約1300万円に
まずは現代の60歳代の平均的な貯蓄額を確認していきます。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」より、60歳代・二人以上世帯の貯蓄事情を確認しましょう(※金融資産を保有していない世帯を含む)。
1.1 【60歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:2026万円
- 中央値:700万円
上記を見ると、60歳代の平均貯蓄額は以前「老後2000万円問題」で話題となった2000万円を超えています。
しかし、平均は一部の富裕層に影響されるため、より実態に近い中央値をみると約1300万円も下がり、700万円となっています。
金額ごとに見ると貯蓄ゼロが約2割の一方で、3000万円以上も約2割となっています。
現代シニアでも貯蓄格差が大きいようすがわかります。
2. 【厚生年金と国民年金】公的年金の仕組みと平均月額はいくら?
次に公的年金について確認しましょう。
日本の公的年金は、国民年金と厚生年金の2階建てになっています。
2.1 国民年金(1階部分:基礎年金)
- 原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
- 保険料は一律
- 納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる
2.2 厚生年金(2階部分)
- 公務員やサラリーマンなどが加入する
- 収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
- 加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる
老後、自営業や専業主婦などは国民年金を、会社員や公務員などは厚生年金を受け取ることになります。
では、国民年金と厚生年金の平均月額を確認しましょう。
2.3 国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
2.4 厚生年金の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
国民年金で5万円台、厚生年金で14万円台となりました。
しかし、実際には年金の加入状況により、将来受け取る受給額が異なります。
特に厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、男性より賃金が低い傾向にあり、またライフイベントにより働き方が左右されることの多い女性は、男性に比べて平均月額が約6万円も低くなっています。
次に、厚生年金の受給権者数について、「月額1万円~30万円以上」まで、1万円ごとにグラフで確認していきましょう。男女別に、現代シニアの厚生年金の月額のボリュームゾーンもチェックします。