近年、世界だけではなく、日本においても目に見えてモノの値段が上がってきています。
こうしたインフレに対応していくためには、「お金に働いてもらう」という工夫が必要です。
国としても投資や年金における制度の拡充を進めています。
「NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」という名前や、その内容をご存じの方も多いのではないでしょうか。
ただし、そんなNISAやiDeCoにもデメリットが存在します。
一般的に知られているものとして「元本割れの可能性がある」点があげられますが、他にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
1. 「NISA」&「iDeCo」についておさらい
「NISA」と「iDeCo」はどちらも税制面での優遇が魅力な制度です。
それぞれの特徴を確認していきましょう。
1.1 2024年から新しくなったNISA
NISAは少額投資非課税制度であり、日本在住の18歳以上の方が対象です。
年間としてつみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円分の投資に対する利益が非課税になります。
制度は恒久化、非課税保有限度額(総枠)は1800万円で、枠の再利用が可能です。
1.2 自分で年金が作れるiDeCo
iDeCoは、自ら拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度です。
基本的に20歳以上65歳未満の方であれば利用できます。
原則として掛金は65歳になるまで拠出可能であり、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができます。
iDeCoは掛金全額が所得控除の対象になるため、利益が出なかったとしても節税効果が得られます。
加えて、運用益も非課税に。受取時には、受取方法によって公的年金等控除、もしくは退職所得控除の対象になるため、魅力的な制度として知られています。
2. NISAのデメリット
2024年からより使い勝手の良い制度として生まれ変わった新NISA。
資産形成における強い味方として話題ですが、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
2.1 損益通算ができない
損益通算とは、複数の取引の利益と損失を相殺して、課税額を減らすことです。
NISA口座では運用利益が課税されない代わりに、税務上損失もないものとみなされてしまいます。
そのため、NISA口座で損失が発生した場合でも、課税口座との損益通算はできません。
例えば、2つの取引で10万円ずつ利益と損失が出ているとしましょう。
この場合、どちらの取引も課税口座で行われていれば、利益と損失を相殺できるため、課税対象額は0円となり課税されません。
一方で、利益が出ている取引が課税口座、損失が発生している取引がNISA口座で行われている場合には、相殺することはできず利益の10万円に対して課税されてしまいます。