2. 住民税非課税になるのに必要な手続きはある?
では、「自分は住民税非課税世帯に該当するかもしれない」と思ったとき、非課税世帯になるのに何か必要な手続きはあるのでしょうか。
結論からいうと、住民税非課税世帯になるために特別な手続きは必要ありません。
自治体が前年中の収入(所得)をもとに住民税を計算・決定しているため、非課税世帯に該当するのであれば自治体がそのまま把握することになります。
ただし、そもそも所得の申告ができていなければ正しく計算できないので、確定申告や住民税申告等は必要です。
3. 住民税非課税世帯に対する給付金や助成がある
住民税非課税世帯は住民税を支払う必要がありませんが、それは所得が低い世帯が該当するためです。
こうした世帯を支援するため、日本にはさまざまな給付金や助成があります。
3.1 住民税非課税世帯への給付金
2022年には電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金として、1世帯あたり5万円が支給されました。
そして2023年にも、「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援給付金(名称は自治体によって異なります)」として、1世帯あたり3万円が支給されました。さらに1世帯あたり7万円の給付が決まったため、2023年度の合計給付は10万円となります。
本来は所得割も均等割も非課税の場合に「住民税非課税世帯」となりますが、今回の給付金は「均等割のみが課税されている」という世帯も対象となりました。
対象世帯には3万円給付がなかったため、10万円が支給されます。
こうした世帯は申請が必要とされているため、自治体から届く書類を必ず確認しましょう。例えば東京都港区の場合、書類発送日は1月24日、提出期限は3月31日となっています。
給付金の他、住民税非課税世帯を対象とした支援も見ていきましょう。
3.2 幼児教育・保育の無償化
0~2歳児は幼児教育・保育の無償化の対象外ですが、住民税非課税世帯であれば全年齢で無料化となります。
また副食費等を無料にする自治体もあります。
3.3 大学無償化(高等教育の修学支援新制度)
大学などの授業料や入学金が、免除もしくは減額される制度もあります。
さらに学生生活を送るための生活費として、日本学生支援機構(JASSO)から給付型奨学金を受け取ることもできます。
3.4 国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料の減免
国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料は、所得に応じて負担する所得割と、加入者全員が負担する均等割の合計で決まります。
このうち均等割は一律で同じ金額ですが、非課税世帯は軽減されます。
他にも年金保険料が減免になるなど、さまざまな支援があります。
4. まとめにかえて
住民税非課税世帯について、その年収条件や助成制度について確認してきました。
この中で自分自身が対象になるものがあれば、確認や申請が必要です。
とはいえ、住民税非課税世帯になる所得要件をぎりぎり上回る世帯については、支援を受けられない方も多かったのではないでしょうか。
やはり、自分の資産は自分で築いて老後を乗り越える力を蓄えることが重要なのかもしれませんね。
参考資料
- 東京都主税局「個人住民税(税金の種類)」
- 総務省「個人住民税」
- 大阪市「個人市・府民税が課税されない方」
- 内閣府「物価・賃金・生活総合対策本部(第8回)議事次第」2023年3月22日
- 板橋区「住民税 よくある質問」
- 内閣府「新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和5年12月1日」
- 東京都港区「「港区住民税非課税世帯等生活支援給付金」追加支給(現金7万円給付)のご案内」
足立 祐一