2018年2月14日に行われた、株式会社ビーグリー2017年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料
スピーカー:株式会社ビーグリー 代表取締役社長 吉田仁平 氏
2017年12月期 通期決算説明会
吉田仁平氏:本日はお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。株式会社ビーグリー代表取締役の吉田です。
本日は2017年12月期通期の決算説明ということで、次の3つのパートを中心にご説明させていただきたいと思います。
決算ハイライト(損益計算書)
まず1番目のテーマです。2017年12月期の決算ハイライトをご説明申し上げます。
売上高ですが、89億7,200万円、営業利益11億2,500万円、のれん償却前営業利益13億6,900万円、経常利益10億8,600万円、純利益6億7,800万円。一株当たりの純利益が114円65銭という結果となりました。
売上に関しましては、前年比約8パーセント増。主に顧客単価の上昇によって順調に伸長させることができました。営業利益に関しましては、想定よりも広告効率はやや下回ったものの、原価率が想定よりも良化いたしまして、ほぼ計画どおりの11億2,500万円という着地になっています。
売上高・営業利益の推移
こちらは直近数年間の実績の推移です。
売上に関しては、直近4期連続の増収を達成することができました。営業利益に関しましては、売上に対する広告比率が一段と改善することができまして、前期比で143パーセントの大幅な伸長を示すことができました。
貸借対照表
続きまして貸借対照表です。
こちらはご覧いただいているとおりですが、主に上場の公募増資によって自己資金比率を大幅に改善することができました。64.7パーセントの自己資金比率となっています。
キャッシュフロー計算書
続きまして、キャッシュ・フローに関しても、上場による資金調達と大幅増収によって財務体質としても改善しています。
2017年12月期 施策・トピックス サマリー
続きまして、2017年期に実施した施策ならびにトピックスについて、ご説明申し上げたいと思います。
こちらに一覧として書いてありますが、まずこのスライドでは、我々の会社といたしまして1つの節目でありました、昨年(2017年)3月に東証マザーズへの上場を果たしました。
一方、いくつかトピックスがありますが、ピックアップして個別にこの後ご説明していければと思います。
2017年12月期 施策・トピックス コンテンツの拡充
まずは施策としまして、コンテンツの拡充です。
昨年からコンテンツの拡充という中で、オリジナルの作品を「まんが王国」という当社の主力のサービスの中で配信していくという取り組みを開始しています。
昨年1年間で、全部で10タイトル(の配信)で、売上にしますと約4,000万円程度と、全体の売上に対するとまだまだ小さい取り組みではあるのですが、これらのオリジナル作品に対する投資回収という意味では、極めて短期間で順調に回収が進められる手応えを感じてきています。非常に小さいながらも良好なスタートを切れたかなと思っています。
なお、こちらのスライドの作品は講談社さまと当社が共同でプロデュースをさせていただいている『ギルティ』という作品でして、昨年(2017年)の9月から「まんが王国」で配信をしています。
2017年12月期 施策・トピックス 累計7億冊ダウンロード
続きまして、トピックスとしまして累計7億冊ダウンロードを達成いたしました。これは昨年の10月に達成していますけれども、直近の1億冊のダウンロードに要した時間が6ヵ月ということで、過去最短の期間で達成したという状況です。
2017年12月期 施策・トピックス 多様なニーズへの対応
続きまして、(施策として)多様なニーズへの対応というものが挙げられます。
こちらは昨年(追加したサービスの)、主なものを2つピックアップしています。「まんが王国」は今までスマートフォンとタブレットでお楽しみいただけるサービスで、実はPCでは閲覧しかできないという状態だったのですが、PC版でも課金を可能とする対応を完了しています。
ならびに、今までの「まんが王国」のサービスは、月額有料登録が必須になっていたサービスですけれども、無料で登録だけをしていただいて、必要なときに課金をするというかたちの対応も同時にしています。
このような対応によって、より多様なユーザーのニーズに答えていく受け皿が整ったということが言えると思います。
2017年12月期 施策・トピックス TVCMを実施
続きまして、テレビCMについてです。
こちらは年末年始に関ジャニ∞の横山裕さんを起用したテレビCMを東名阪・首都圏を中心に実施いたしました。
こちらはテレビCMに連動するかたちで、Twitterなどのネットでのキャンペーンも含めて、大いに盛り上げていったわけですが、テレビCMの場合、なかなか定量的な投下測定をしづらい部分はありますけれども、総合的に見て一定の効果があったのではないかと捉えています。
2017年12月期 施策・トピックス 『まんが王国』以外の取組
続きまして「まんが王国」以外の取り組みも、いくつかご紹介できればと思います。
まだ、売上に占める割合という意味では、軽微ではありますが、当社の中で「まんが王国」以外としては「FUNDIY STORE(ファンディーストア)」というサービスで、クリエイターの限定商品であったり、レアアイテムのようなものを発売するECサイトを立ち上げています。
こちらは規模こそ、まだ小さいのですが、一定の継続的なお客さまとのご商売が安定的に積み上がってきていますので、今後伸ばしていきたいところではあります。
次の段のところには「e-DIVE」という当社が昨年からはじめたVRに関連した取り組みをご紹介しています。
こちらは、いわゆるサブカルのアートをお客さまに届ける1つの手段として、VRを活用していこうという取り組みです。第一弾の取り組みといたしましては、中村佑介先生、『謎解きはディナーのあとで』などの挿し絵で有名な先生なのですが、そのようなイラストレーターの方を起用して、第一弾のプロジェクトを開始いたしました。
あと、3段目にありますが、中国のTencent社の(メッセージアプリ)「WeChat」向けに、マンガの原権利を利用したスタンプ提供のパートナーシップ契約を締結しています。商品の出荷に関しては、今期にリリースしていくかたちとなっています。
今後の事業展開 2018年12月期の事業戦略
今期2018年12月期の業績予想と今後の事業展開について、ご説明申し上げたいと思います。
まずは、今期の数値予想ですが、売上102億7,100万円、営業利益12億4,800万円、のれん償却前営業利益14億9,400万円、経常利益12億2,200万円、純利益7億6,900万円、1株あたりの純利益126.36円を予想しています。
売上に関しましては、市場の成長ペースを上回るペースを目指していきたいと思っています。それに伴って、10パーセント強の増益を目指していこうという計画です。上期と下期はそれぞれ売上でいきますと、上期に47億円強、下期に55億円弱という売上の計画を立てています。
現在、我々もここまで確実に、「まんが王国」を中心として売上を伸長させてきていますが、今期は少し新しいことにチャレンジしながら売上を伸ばしていきたいと考えています。
今後の事業展開 2018年の事業戦略
それでは、どのようなかたちで計画を実現していくのかということで、今期の事業戦略について、4つのポイントでご説明させていただければと思います。
今後の事業展開 プロモーションの多様化
まずは、プロモーションの多様化です。我々の、とくに「まんが王国」のビジネスにおいては、今までネット広告とお得な月額会員制が1つの勝ちパターンとして、ここまで売上を伸長させてまいりました。
ただ、コミックの市場規模も1,600億円、1,700億円とかなりの規模になってきていまして、これからは多様なユーザーニーズを拾っていく必要があるということで、当社といたしましても、昨年の終盤に気軽な無料会員(登録制度)を対応しています。
それに伴いまして、「ブランディング強化」です。我々としては、ネット広告はもちろん、今までどおり推進して最適化を図っていくわけですが、テレビなどに代表される、今まで我々としてはあまり行ってきていない広告手法をどんどん拡大していきたいと思っています。
それによって、受け皿としても、お得な月額会員だけではなく、気軽な無料会員、そしてプロモーションの手法としても、ネット広告のみならず認知・ブランディングを高める施策を行うことで、さらなる成長を目指していこうといった考えです。
今後の事業展開 TVCM実績
こちらが、昨年末年始に行ったテレビCMの、いわゆる認知度の調査に関する数字です。こちらは、ちょうど(2017年)12月と(2018年)1月と、インターネットの調査会社を利用して、サンプル数2万件程度の調査を行ったものですが、我々「まんが王国」のサービス認知度としましてはご覧のとおりで、競合他社にやや遅れをとるところが、正直ございます。
こちらのグラフでいきますと、同業他社の中で5番手程度の認知度という調査結果でした。今回我々がCMを行った後の調査が、このグラフで言うところの薄い(色の)棒グラフになるのですが、こちらでおよそ3ポイント程度認知度が上昇していまして、大手コミック配信サービスの中では、他社さんもテレビCMなどを行っている会社さんもいましたが、一番の認知度の伸びが見られたという状況です。
我が社の認知度自体はこのグラフのとおりで、まだまだ伸びしろがある状態。ネット広告を中心に行ってきているここまでの背景もありますので、ブランディングや認知を高めることで間接的にネット広告の効果にも、ならびにネット広告だけで届かなかったお客さまにもリーチしていきたいと考えています。
今後の事業展開 コンテンツの拡充
続いての戦略ですけれども、引き続き、コンテンツの拡充です。これは、昨年オリジナルタイトルを開始いたしまして、投資効率という意味で一定の手応えを感じていますので、我々としては今期、この動きを加速してまいりたいと思っています。
中期的には、「まんが王国」の中で、常時100タイトル規模でマンガタイトルを連載していく目線を持ちつつ、今期は最低でも40タイトル程度の連載体制を築いていきたいと考えています。
もちろん、今まで我々が強みとしてきました、既存の作品を出版社さんや作家さんから、先行タイトルとして許諾をいただいたり、知る人ぞ知る良作を掘り起こしてプロモーションをしていく。このような活動はもちろん引き続き進めながら、オリジナル作品を同時に拡大していくということで、我が社といたしましては、許諾に関連する営業人員を強化していきたいと考えています。
今後の事業展開 コミックインキュベーションサイクル
こちらのスライドは、「コミックインキュベーションサイクル」と名付けていまして、1年前ぐらいから、このような場でよく使わせていただいているスライドではありますが、昨年は10タイトルを「まんが王国」で作り出しています。
今後、我々も月額会員のみならず、無料会員の登録もどんどん募っていく中で、「まんが王国」が電子書店として規模を大きくすると同時に、いわゆるメディアとしてのユーザー規模の拡大がより図りやすくなってきています。
そのような中でオリジナル作品を、こちらのサイクルの図のようなかたちで、よりたくさんの方に見ていただくようにリリースして、「まんが王国」の中での販促キャンペーンなどで、よりその作品を有名にしながら、育てていくということを実現できればと思っています。
今後の事業展開 サービスの改善
続きまして、サービスの改善ということで、スライドをご用意しています。
今期は「まんが王国」といたしまして、あらためてミッションステートメントを定めています。「お客さまに寄り添い、独創的な提案で末永く使っていただけるサービスを提供する」というかたちでミッションを定めています。
こちらは、ユーザー目線でより付加価値の高いサービスを提供していこうという思い、当たり前のことではありますけれども、それをあらためて(認識する)という部分と、コミック配信サービスのユーザー数・市場規模もかなり大きくなってくる中で、競争も激しくなってきているというところで、複数のサービスを使うユーザーさんも出てきています。
やはり、そのようなユーザーさんにメインのサービスとして、長く使っていただくという視点で、「まんが王国」の強みを作っていきたいという思いで、このようなミッションステートメントにしています。
キャッチフレーズといたしまして、「ココロ動かすまんが王国」というものを定めています。このスローガンとともに、サービスもコンテンツも拡充していこうというところです。サービスといたしましては、大きく2つに分けていまして、1つは独自の付加価値の提供と挙げています。
これはお得なキャンペーン、一番安いかどうか、価格競争という観点もあるのですが、やはり、お客さまにお得感という意味で信頼してもらえるような、各種ボーナスポイントであったり、割安なキャンペーンの提供を、きっちり「まんが王国」のブランドとしてやっていきたいというところです。
ならびに「AI活用」と書いてありますが、当社の中でも、まだそのような余地が多分に残されている部分はありますので、ユーザーの利便性の観点から、また作品の掘り起こしという観点からも、AIの活用を積極的に考えていきたいと思っています。
継続的なサービスの改善といたしましては、このようなスライドで説明する部分においては、非常に地味にはなってしまうのですが、やはり、ユーザーのWeb上での導線を継続的に改善するところにおいては、いわゆるエンジニアとデザイナーとサービスの企画の人間が、一体になって改善していく仕組みが必要となりまうす。
いわゆる売上や各種KPIにおいては、実はかなり有効に効いてくる施策ではありますので、当社としてはこのような体制の部分も今期は強化して、より改善スピードを高めてまいりたいと思っています。
今後の事業展開 新規・周辺ビジネス収益化への布石
そして新規・周辺ビジネス収益化への布石ということで、スライドをご用意しました。こちらは2つのポイントをまとめています。
我々も「まんが王国」以外のビジネスに関しては、なかなか時間を要してきている部分はあるのですが、小さいながらもある程度方向性が定まってきていますので、今期はきっちり……まあ、「収益面で大きく期待してください」と言うには、まだ時期尚早かと思っていますが、その布石を今期にきっちり打っていきたいと思っています。
まずはオリジナルIPの創出にチャレンジしていこうということを方向性として挙げています。これは「まんが王国」に、マンガ好きのユーザーがいて、そこでオリジナル作品を出していこうということなのですが、マンガ以外の出口に対して、当社がプロデュースするIPというものを作っていこうというところです。
「まんが王国」で、例えば、IPのマンガの連載のようなことをするかもしれませんし、「まんが王国」と別の出口で、メディアミックスのような展開を、具体化していきたいと思っています。
2番目に挙げていますのは、「出口の多様化と充実」というところです。出口の多様化と言いますと、今我々が自社で取り組んでいる新規・周辺ビジネスといたしましては、VRやインフルエンサーマーケティングがあります。出口としては比較的、ニッチな切り口ではあるのですが、ニッチであるがゆえに、自分たちの感性で、自前でその出口を作ったりもしています。
他には、例えばアニメとかゲームなど、そのようなより規模の大きいメディアミックスとしてのコンテンツのの出口を、アライアンスなどで、より広げていきたいと考えています。
今後の事業展開 今後の目指す姿
こちらがご説明の最後のスライドにはなります。
当社が中期的に目指す姿について、簡単に図式化しています。やはりこの中期的な方向性の中でも、中心となるのは「まんが王国」ではありますが、メディアミックスのプラットフォーム展開を図っていきたいと考えています。
「まんが王国」が継続的に規模を拡大する中で、現状、我々としてはVRや、グッズの販売というところで、ある程度の自前の出口もありますが、市場的にはゲームやアニメ、映画、他にもキャラクタービジネスなど、さまざまなネット上の出口というものはあると思います。
我々は現状、他社のIPの許諾いただいて配信していくというところで、ビジネスをしていますが、その中で、他社のIPのみならず、自らもオリジナル作品を創出していこうというところを、「まんが王国」でも新規・周辺ビジネスでも、今期からいろいろと仕込んで、拡大してまいりたいなと(考えています)。
そのような中でマンガの配信という出口のみならず、さまざまな、より適した出口でのマネタイズを実現しながら、国内・海外を問わず広くユーザーにリーチしていきたいというところが、我々が中期的に目指す姿です。
現状は「まんが王国」を中心としたコミック配信会社というところかもしれませんが、この3年くらいで、より具体的にこのようなビジョンの実現ができればと考えています。
そうした意味でも、この2018年としましては、コミック配信会社からメディアミックス、いくつかの出口、もしくはいくつかのオリジナルの作品で、きっちり実績を出して、世の中に、我が社としてもサービスとしても、ブランディングをしていきたいと考えています。
説明資料といたしましては、以上です。会社概要と市場環境の資料に関しては、この後の添付のところで付録として付けていますが、ご説明は割愛いたします。
私からご説明は以上になります。ありがとうございました。