4. 企業に勤める会社員の定年退職金はいくらか
前章では、公務員の定年退職金の相場について紹介しましたが、大企業や中小企業に勤める会社員の定年退職金はどのくらいなのでしょうか。
まずは、一般的に「大企業」と分類される企業からチェックしていきましょう。
最新の統計である中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」によると、資本金5億以上かつ労働人材が1000人以上の企業のモデル定年退職金は、大学卒・高校卒それぞれ下記の結果となりました。
- 大学卒:2563万9000円
- 高校卒:1971万2000円
※学校を卒業後ただちに入社して標準的に昇進した者のうち、事務・技術(総合職相当)
一方、東京都産業労働局の調査データでは、企業規模が300人未満の企業の定年退職金は下記の結果となりました。
【大学卒】
- 企業規模10~49人の退職金:979万3000円
- 企業規模50~99人の退職金:1141万8000円
- 企業規模100~299人の退職金:1323万円
【高校卒】
- 企業規模10~49人の退職金:880万3000円
- 企業規模50~99人の退職金:1065万9000円
- 企業規模100~299人の退職金:1204万5000円
※卒業後すぐ入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準
上記を比較すると、大企業のほうが中小企業よりも1000万円ほど差があることがわかります。
とはいえ、企業の退職金は各企業の制度や入社時の学歴などによって格差が大きいため、上記の金額はあくまで目安として参考にすると良いでしょう。
5. 退職金に頼りすぎない「老後資金」づくりを
今回は公務員の定年退職金や、企業に勤める会社員のモデル退職金について詳しく紹介していきました。
各調査データによると、公務員や大企業の会社員として長年勤めている人は、定年退職金として2000万円以上もらえる可能性が高いといえます。
しかし公務員や大企業に勤務していても定年まで勤務し続けることが1つのポイントになりそうです。また退職金も必ず受給されるかも分かりません。
退職金があるから老後資金は大丈夫と考えるのではなく、退職金があればより豊かに老後生活を送れると考えるぐらいが良いかもしれません。
筆者が日々資産運用の相談を受ける中で、退職金がない企業に勤めている人も少なくありません。そうなると老後資金はできるだけ早いうちから自分自身で準備する必要があります。
今は銀行に預けていてもお金が増えない時代。今年から「新NISA」も始まり、世の中も投資に関心が向いています。
正しい情報を手に入れて、資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
- 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」
- 厚生労働省 中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」
- 厚生労働省「退職給付(一時金・年金)の支給実態 」
山本 大樹