2018年2月8日に行われた、住友商事株式会社2018年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:住友商事株式会社 理事 主計部長 菅井博之 氏
住友商事株式会社 理事 インベスターリレーションズ部長 田村達郎 氏
経営成績
菅井博之氏:お忙しい中、ご参加いただきましてありがとうございます。
まず、お手元のプレゼンテーション資料に基づきまして、17年度第3四半期の決算の概要につきまして、ご説明いたします。資料1ページ目をご覧ください。
当第3四半期の当期利益は2,529億円となり、前年同期と比べ、1,414億円の増益となりました。基礎収益は2,326億円となり、前年同期と比べ、800億円の増益となりました。
左下にビジネスごとの基礎収益、一過性損益の概要を記載しています。
資源ビジネスは、(資源)価格上昇の影響によりまして、ボリビアの銀・亜鉛・鉛事業や南アフリカの鉄鉱石事業、オーストラリアの石炭事業が堅調に推移したことなどから、大幅な増益となりました。
鋼管事業は、アメリカにおけるリグカウントの緩やかな増加に伴いまして、収益が改善しています。
その他非資源では、リース事業や建機事業、メディア・生活関連の国内主要事業会社や不動産事業などのコアビジネスが堅調に推移したことに加えまして、大型EPC案件の建設進捗による利益貢献がありました。
一過性損益は、前年同期に(チリ)シエラゴルダの銅・モリブデン事業の減損損失など、約320億円の損失がありましたが、当期は米国税制改正や資産入替に伴う一過性利益があったことなどから、約370億円の利益となりました。
資料右上に記載しています、これら足元の業績の進捗を踏また、通期見通しについてですが、昨年(2017年)11月に公表しました当期利益2,800億円を3,000億円に見直しています。
基礎収益は昨年11月に公表しました通期見通し3,000億円を見直していませんが、第3四半期までの実績は堅調に推移しており、第4四半期も総じてこのトレンドは継続すると見ています。
今回、セグメントの積み上げでの見直しを行っていませんが、第3四半期において、もともと見通しに織り込んでいなかった米国税制改正の影響が約170億円あったことを踏まえまして、全社の当期利益を200億円上方修正し、3,000億円としたものです。
当期利益の見直しに伴いまして、当期の年間配当予想については、通期見通し3,000億円に対して連結配当性向25パーセントを適用しまして、昨年11月に公表しました1株当たり56円から4円増配の60円とします。中間配当金は28円でしたので、期末配当金は32円となる予定です。
キャッシュ・フロー/財政状態
続きまして、キャッシュ・フローおよび財政状態についてご説明しますので、資料の2ページ目をご覧ください。
当第3四半期累計のフリーキャッシュ・フローは、837億円のキャッシュ・インとなりました。コアビジネスが着実にキャッシュを創出したことなどから、基礎収益キャッシュ・フローが2,154億円のキャッシュ・インになったことに加えまして、資産入替による回収が約1,300億円ありました。
その他の資金移動は、ビジネスの伸長に伴う運転資金の増加に加え、貴金属取引における在庫商品の積み増しなど、一時的な要因から約1,700億円のキャッシュ・アウトとなっていますが、期末に向けて一定程度、戻ってくると見ています。
投融資は、ブラジルにおける水事業への参画や、ミャンマーにおける通信事業などへの投資により、約1,900億円のキャッシュ・アウトとなりました。
資料下段の財政状態についてですが、総資産は棚卸資産の増加などにより、前期末と比べ2,680億円増加し、8兆298億円となりました。
株主資本は、おもに当期利益の積み上げにより、前期末と比べ2,627億円増加し、2兆6,292億円となりました。
これらの結果、D/E Ratio(Net)は0.1ポイント低下し、1.0倍となっています。
第3四半期までの累積実績の2,529億円、通期見通しの3,000億円、それぞれ最高益ということになりますので、申し添えいたします。
説明は以上です。
個別事業の状況(1)アンバトビー ニッケルプロジェクト
田村達郎氏:引き続きまして、私、田村から、Appendixの7ページ目と8ページ目、アンバトビー ニッケルプロジェクト、およびTBCの再編についてのご説明をいたします。
7ページ目をご覧ください。
アンバトビー ニッケルプロジェクトは(2018年)1月の初旬にマダガスカルに上陸しましたサイクロンの影響によりまして、プラント設備損傷の復旧ならびに安全確認のために、1月中の操業を停止していましたが、復旧作業は予定通りに進みまして、1月末より段階的に操業を再開しています。
硫酸プラントの一部故障等もありまして、2018年度第1四半期までは操業が若干制約される見通しになっていますが、第2四半期以降は操業レベル80パーセント程度までの安定操業を目指しています。
2017年度の当プロジェクトの業績につきましては、この第4四半期にサイクロンの影響等により、操業率が50パーセント程度に落ちることなどから、昨年(2017年)11月に公表しました142億円の赤字から20億円ほど悪化しまして、160億円程度の赤字となる見通しです。
個別事業の状況(2)TBC(北米における交換用タイヤの卸売/小売事業)
続きまして、次の8ページ目のスライドをご覧ください。TBCの状況についてご説明いたします。
当社は今年(2018年)1月、ミシュラン社とアメリカにおけるタイヤ事業 TBCの共同運営、および戦略提携について合意いたしました。再編のスキームは下段の図のとおりでありまして、TBCは当社とミシュラン社、それぞれ50パーセント出資の持分法適用会社になります。
TBCの事業価値は2016年度のEBITDAをベースに、EBITDAマルチプルで言いますと9.3倍の約15億2,000ドルと評価しており、本件に伴いまして当社連結ベースでの影響は、バランスシートで約1,700億円の資産減、キャッシュ・フローでは約700億円のキャッシュ・インを見込んでいます。PLへの影響は軽微と見ています。
本再編によりまして、卸売事業はミシュラン傘下のアメリカ第4位のTCi社と第5位のTBCが統合する結果、アメリカでは第2位の事業社となります。今後はこのネットワークを生かし、物流機能の強化やオペレーションの効率化を進めてまいります。
また、課題の小売事業におきましても、オンライン販売や法人車輌メンテナンスサービスについて、ミシュラン社のノウハウを活用しまして、新しい顧客を開拓していくことで、事業成長を進めてまいります。
なお、(再編は)年度内3月末までのクロージングを目指していますが、各国における独禁法の承認等が年度内に取得できるかどうか微妙な状況になっていまして、これを注視していきたいと考えています。
私からの説明は以上です。