3. 一元化後の公務員の年金

被用者年金の一元化によって、共済年金独自の職域加算は廃止されました。

その代わりに、民間の企業年金に相当する労使折半の年金が導入されました。

この年金制度を、「年金払い退職給付」といいます。

そのため、一元化後に65歳以上の公務員が受け取る年金は次の3つとなります。

  • 老齢基礎年金
  • 老齢厚生年金
  • 年金払い退職給付


年金払い退職給付は、一元化以降に労使折半で支払った保険料に対する給付です。

年金払い退職給付には終身年金と有期年金があり、有期年金については受給期間を20年と10年から選択します。

また、一元化前に公務員期間があった人に対しては、移行措置として、その期間に応じて「経過的職域加算」も支給されます。

つまり、一元化前と一元化後にまたがって公務員であった人は、上記の3つに加えて退職共済年金と経過的職域加算を受給することになります。

4. 国家公務員共済のモデル年金額

被用者年金の一元化や一元化後に受給する年金の種類などについて解説してきましたが、実際の年金額はどれくらいになるのでしょうか。

国家公務員共済組合連合会の資料を使ったモデル年金額を紹介します。

試算の前提条件は次の通りです。

  • 平均標準報酬月額:40万5000円
  • 加入期間:40年(20歳から60歳まで。2015年10月以降の期間)
  • 受給開始:65歳


前提条件を基に計算した各年金額(2024年4月時点で計算)は次の通りです。

  • 老齢基礎年金:月額6万6250円
  • 老齢厚生年金:月額8万8880円
  • 年金払い退職給付:終身年金は7125円、20年有期は1万5316円(10年有期は2万3450円)


20年有期を選択した場合、65歳から20年間の年金額は月17万7571円です。

20年経過後に有期年金がなくなると、16万2255円となります。

厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給権者の平均年金月額は14万3973円です。

年金額は平均標準報酬月額や加入期間によって人それぞれですが、平均すると公務員は会社員などより月3万円以上(当初20年間)も年金が多くもらえます。

5. まとめにかえて

2015年10月1日に「被用者年金の一元化」が実施され、共済年金は厚生年金に統一されました。

一元化により退職共済年金は老齢厚生年金に変わりました。

また、職域加算が廃止され、代わりに年金払い退職給付が新設されました。

年金払い退職給付が支給されるため平均すると公務員の方が年金額は多くなりますが、実際の年金額は人それぞれです。

「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で受給額を確認し、老後の生活設計に役立てましょう。

参考資料

西岡 秀泰