2020年(令和2年)の「国勢調査」によると、前回の2015年の調査と比較して人口が目立って増えているのは40歳代後半、50歳代と70歳代前半とのこと。2025年に向けて、人口が増えていくのは50歳代と75歳以上と予想されているそうです。
75歳以上の人口増加で懸念されているのが「2025年問題」で、超高齢化社会になることで社会保障費の増加が問題となっています。
また、かつては二世帯住宅といえば「親世帯が60歳代、子世帯が30歳代」であることが多かったのですが、これからは「親世帯が75歳以上、子世帯が50歳代以上」であることが多くなるといわれています。
この結果、今後国内の二世帯住宅は、従来のものとは少しずつ変わっていくことが予想されます。
高齢の親との同居が増えることで、お互いの独立性を保ちつつ両世帯がそれぞれをサポートしながら暮らせる工夫がより重要になるでしょう。
そこで今回は、兵庫県で二世帯住宅を建てた方の体験談を紹介します。
1. 兵庫県で二世帯住宅を建てた方の後悔ポイント
この事例は次のような方の実際の体験談となります。
- 【居住地】 兵庫県
- 【建築費】 2570万円
- 【体験した方】 50歳代の妻
1.1 後悔したポイント1:和室6畳の部屋の押し入れスペースが無駄に
「和室6畳の部屋の押し入れスペースを大きく取りすぎてしまったために、収納するものがなく無駄になってしまった」と、後悔ポイントを語る奥様。
和室の押し入れのサイズは、基本的には畳と同じように0.5畳や1畳といった日本の伝統的な尺モジュールにもとづいて計画されます。
しかし奥行きが深いため、布団以外を収納する場合には使いにくくなってしまうことがあります。
奥行きの深さを活かして、隣り合った部屋同士で押し入れのスペースを使い分けるといった方法があります。
1.2 後悔したポイント2:吹き抜けに後悔
「1階玄関から2階に上がる階段スペースを吹き抜けにしたため、1階のキッチンからの臭いや夏の暑さ・音が2階にダイレクトに届き、後悔しています」とのことです。
吹き抜け階段は開放感があって空間を広く見せることができるのがメリットですが、どうしても調理の臭いや音などが上階に伝わりやすくなり、空調の効きも悪くなってしまいます。
したがって吹き抜けを設ける場合には、事前にデメリットについても良く検討しておくことが大切です。
1.3 後悔したポイント3:2階に設置したトイレ
「2階に設置したトイレを1.5畳ほどの広めのスペースにしてゆったりできるようにしましたが、西側にあるため夏場には熱がこもって、掃除するのも嫌になってしまいます」とも語ります。
西側にあるトイレは西日がきつく、夏の夕方にはとても暑くなりがちです。
夏の暑さを軽減するための断熱対策を、念入りに行っておく必要があります。
1.4 後悔したポイント4:無駄に広いキッチンになってしまった
「二世帯住宅なので、1階と2階それぞれにキッチンがあります。2階で暮らす私たち夫婦世帯のキッチンをカウンターキッチンにして、作業しやすいように背面のカップボードとの間を1m60cm取りましたが、自分以外に調理することがないので無駄に広いキッチンになってしまいました」とのことです。
キッチンからカップボードまでの距離が遠すぎると作業効率が悪くなり、無駄な空間が増えてしまいます。
したがって、キッチンの通路幅は広くても1m20cm以下に抑えた方が無難といえます。
1.5 後悔したポイント5:和室の仏間
最後に「1階で暮らす親世帯の和室に仏間を設けたが、あとから親がこの先仏壇を所有しないと聞きました。事前に確認すべきだったと後悔しています」と語られました。
かつては家の中には仏壇を置くための専用のスペースが設けられていましたが、近年は住宅事情などから仏壇のない家も多くなっています。
仏壇はどうしても置かなければならないものではないので、事前に仏壇を置くかどうかを家族内で確認しておくことが大切です。