3. 新NISAで大学入学費用を貯める際の具体的なポイント2つ
元本を割れてしまうケースを想定し、以下のポイントを押さえておきましょう。
3.1 売却のタイミングを逃さない
10年後までに資金を準備する必要があるので、運用益を得られるタイミングで売却し、現金化する必要があります。しかし、10年後の相場環境によっては、元本を大きく割ってしまっている可能性も否定できません。
そのため、例えば7~8年積み立てた段階で運用益が乗り、目標金額に近いところまで到達していれば、10年を待たずに売却することも視野に入れておくことが大切です。
とはいえ、相場動向を正確に予測することは専門家でも不可能であり、完璧なタイミングで売却するのは簡単なことではありません。
保有商品の値動きや経済動向などをこまめにチェックし、いつでも売却できるように構えておくことが大切です。
3.2 新NISA以外の方法も検討する
元本を割ってしまったケースを想定し、新NISA以外でも入学費用を準備しておくことが大切です。例えば、預貯金や積立型の生命保険などが選択肢となります。
積立方法を分散しておくことでリスクヘッジにもつながるため、「投資」以外の方法を考えておきましょう。
4. 積立投資シミュレーション
「毎月1~3万円・10年間・年利3.0%」で積み立てたケースを想定し、シミュレーションしてみました。前述した進学先別の入学費用とシミュレーション結果を参考に、積立計画を立ててみてはいかがでしょうか。
※あくまでもシミュレーションであり、実際の運用結果を確約するものではありません。
4.1 「月1万円・10年間・年利3.0%」
【10年後の運用結果】
- 元本:120万円
- 運用益:19万7000円
- 合計:139万7000円
4.2 「月2万円・10年間・年利3.0%」
【10年後の運用結果】
- 元本:240万円
- 運用益:39万5000円
- 合計:279万5000円
4.3 「月3万円・10年間・年利3.0%」
【10年後の運用結果】
- 元本:360万円
- 運用益:59万2000円
- 合計:419万2000円
5. 早めに準備を始めよう
大学入学費用の準備に新NISAを活用するのは非常に有効な手段です。しかし、「出口戦略」についてよく考え、市場の動向や保有商品の値動きを注視しておかなければなりません。
リスクを許容できない場合は新NISA以外の方法も検討し、自分に合った方法でお子さまの進学に備えましょう。
参考資料
- 文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
- 文部科学省「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
- 金融庁「NISA早わかりガイドブック」
- 金融庁「資産運用シミュレーション」
加藤 聖人