1月に公表された令和6年度の年金額は、前年度に比べて2.7%増でした。
物価高の影響による増額は嬉しいものの、一方でマクロ経済スライドの調整などにより実質的には目減りとなっており、少子高齢化の日本においては年金への不安は高まるばかりです。
公的年金への不安を支えてくれる一つが「貯蓄」ですが、「物価高で貯蓄までできない」「教育費や住宅ローンが重くて老後まで備えられない」ご家庭も多いでしょう。
では、実際に60歳代で貯蓄ができている人の割合はどれくらいいるのでしょうか。
今回は金融広報中央委員会の資料をもとに60歳代・二人以上世帯の貯蓄額と、2024年4月からの年金額もみていきます。
1. 【60歳代・二人以上世帯】貯蓄2000万円以上ある世帯は何パーセント?
2019年に話題となった「老後2000万円問題」。
60歳代・二人以上世帯で「貯蓄2000~3000万円未満」を達成している人はどれくらいいるのでしょうか。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」より、60歳代・二人以上世帯の貯蓄事情を確認します(金融資産を保有していない世帯を含む)。
1.1 【60歳代・二人以上世帯】の貯蓄2000万円~3000万円未満の割合
8.8%
1.2 【60歳代・二人以上世帯】の貯蓄2000万円以上の割合
29.1%
1.3 【60歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:1819万円
- 中央値:700万円
貯蓄2000万円~3000万円未満は1割未満、貯蓄2000万円以上でみると約3割となりました。
2. 【60歳代・二人以上世帯】貯蓄できています「6割超」に
60歳代であっても貯蓄ができれば、老後により備えられますよね。
では、60歳代のみなさんは収入から何パーセント貯蓄しているのでしょうか。
同資料より、年間手取り収入(臨時収入含む)からの貯蓄割合(金融資産保有世帯のみ)を確認します。
2.1 年間手取り収入からの貯蓄割合
- 平均:11.0%
- 5%未満:4.1%
- 5〜10%未満:11.2%
- 10〜15%未満:19.9%
- 15〜20%未満:3.2%
- 20〜25%未満:8.4%
- 25〜30%未満:1.6%
- 30〜35%未満:6.3%
- 35%以上:6.9%
- 貯蓄しなかった:38.3%
貯蓄している人で最も多いのは「10〜15%未満」で19.9%、平均は11%でした。
一般的にはリタイアする人も少なくない60歳代ですが、6割超の人が貯蓄しているとわかりました。