2025年は、団塊の世代が全て75歳以上となる年。介護を必要とするシニアは今後ますます増えていくでしょう。親と子どもは同じ速度で歳をとっていきます。その子ども世代である「団塊ジュニア」たちは、自分自身の健康面も気になり始める時期でしょう。

公益財団法人生命保険文化センターが公表する「生活保障に関する調査 2022年(令和4)年度」によると、親などの介護について、74.9%の人が何らかの不安を感じていると回答。

とりわけ「親の介護費用」について漠然とした不安を持つ人は多いでしょう。今回は「親の介護費用」と今のシニアの年金事情を見ていきます。

1. 団塊ジュニア世代が気になる「親の介護費用」平均はいくら?

生命保険文化センターが公表する「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」では、ひと月の介護にかかる費用についてのデータを見ることができます。

1.1 介護費用の平均額

介護費用の平均額を見ていきましょう。この金額には、公的介護保険サービスの限度額を超えて自己負担となった費用も含まれます。

  • 一時的な費用合計(住宅改造や介護用ベッド購入など):74万円
  • 月額平均(在宅介護):4万8000円
  • 月額平均(施設介護):12万2000円
  • 介護期間平均:61.1カ月

介護期間を平均の61.1カ月、約5年とし、一時的な費用の合計と月々の費用を足し上げた場合、在宅介護の場合は約370万円、施設介護の場合は約820万円になります。

ただし「かかった(支払った)費用がない=0円」も含めた平均である点には注意が必要でしょう。

在宅介護の場合は、住まいのバリアフリー度合いや、家族と同居かどうかといった住まいや世帯の環境によっても変わってくるでしょう。施設介護であれば、特別養護老人ホームなどの公的施設か、介護付き有料老人ホームなどの民間施設かによっても差が出ます。

公的施設の代表格である「特別養護老人ホーム(特養)」にかかる費用は、所得によって決まりますが、概ね0円~15万円程度。費用を抑えたい場合に適していますが、その分入居待ちの人が多いのがデメリットでしょう。

一方、民間の有料老人ホームに入所した場合、施設に支払う費用だけでひと月20万円を超えるケースは珍しくありません。

入居後に要介護度が上がれば、介護保険サービスの自己負担費用も上がります。また、物価高騰のあおりをうけて施設利用料の値上げが行われたりする可能性も想定しておく必要があるでしょう。