医療費は、家計にとって大きな負担となる出費のひとつですね。
厚生労働省の最新統計「令和2年(2020)患者調査の概況」によると、退院患者の平均在院日数(病院)は33.3日となりました。
また年齢階級別にみると、「65歳以上」が最も長くなっています。
高齢者など、身体の不調で頻繁に病院に通う方や、ガンなどの病気で手術や通院が必要な方の中には、経済的な不安を抱えている人もいるかもしれません。
今回は、医療費負担を減らすことができる高額療養費制度について分かりやすく解説します。
1. 高額療養費制度とは?
高額療養費制度は、一定の条件を満たすと、医療費の家計負担が重くならないように医療費を援助してくれる制度です。
医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月で決められた上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給してくれます。
支給される金額は、年齢や所得によって変わります。
所得が高い方は医療費の自己負担額が高くなり、所得が低い方は自己負担額が低くなる仕組みとなっています。
例えば、70歳以上で年収約370万円~770万円の方で、医療費の自己負担が3割負担の人を見ていきましょう。
手術や入院で100万円の医療費がかかった場合、通常、窓口での自己負担額は30万円(100万円×0.3)となりますね。
しかし高額療養費制度を活用すると、自己負担額を大幅に減らすことが可能です。
高額療養費制度の計算式に当てはめると、同じく70歳以上年収約370万円~770万円の方で、100万円の医療費がかかった場合、自己負担額は、8万7430円まで減らすことができます。
自己負担の上限額を計算する式は、以下の通りとなっています。
自分の所得や年齢から、上限額がいくらになっているのか調べてみましょう。
1.1 <70歳以上の場合>
例:年収約370万円まで(住民税非課税を除く)なら「5万7600円」
1.2 <69歳以下の場合>
例:年収約370万円~約770万円なら「8万100円+(医療費-26万7000)×1%」