2. 高額療養費制度を利用できる人

さらに具体的に、どんな人が高額療養費制度を利用できるのか、確認していきます。

年収が約370万円~770万円の場合、1ヶ月の窓口で支払った医療費の自己負担分が約8万円以上の人は、高額療養費制度の利用対象の目安となります。

年収が約770万円~1160万円の場合は、自己負担分が約16万7000円以上、年収が1160万円以上の場合、1ヶ月の自己負担分約25万2000円以上が、高額療養費制度の利用対象の目安です。

<高額療養費利用の目安>

  • 年収約370万円~770万円 :1か月の医療費の自己負担分 約8万円以上
  • 年収約770万円~1160万円:1か月の医療費の自己負担分 約16万7000円以上
  • 年収が1160万円以上   :1か月の医療費の自己負担分 約25万2000円以上

また、高額療養費制度は、複数の病院で支払った医療費を合算して計算することができます。

例えば、歯医者と内科など別々の病院に支払った医療費の1ヶ月の合計金額が、上記の目安を超えた場合、利用できます。

さらに家族それぞれが医療費を支払って、その合計金額が高額な場合も、制度を活用することが可能です。

※69歳以下の場合は2万1000円以上であることが必要です。

そして、過去12ヶ月以内に3回以上高額な医療費を支払った場合は、4回目から上限額が変わり、さらに負担が軽減される仕組みとなっています。

詳しくは、厚生労働省のホームページをチェックしてみましょう。

治療が長期間に及ぶ場合などに活用できますね。

3. 高額療養費制度利用時の注意点

高額療養費制度を利用する場合、確認しておきたい注意点があります。

ここでは4点チェックしておきましょう。

3.1 制度の対象となる費用

入院時にかかった食費や、患者の希望によってサービスを受ける差額ベッド代、先進医療にかかる費用などは、高額療養費の支給の対象ではありません。

高額療養費が使えるはずと勘違いし、個室を希望をすると、退院時に支払う金額が大幅に増えてしまうので要注意です。

3.2 最低自己負担額

69歳以下の場合、自らの自己負担額を合算するためには、医療機関から医療保険へ提出する診療報酬の請求書1枚あたりの1ヶ月の自己負担額が2万1000円以上である必要があります。

1万円の請求書が10枚ある場合など、最低自己負担額である2万1000円を超えない場合は、高額療養費制度が利用できないので、覚えておきましょう。

3.3 時効

高額療養費制度には、時効があります。

高額療養費の支給を受ける権利は、診療を受けた月の翌月の初日から2年です。

2年以内であれば、過去にさかのぼって支給申請することができますが、時効を過ぎてしまうと、お金は支払われないので注意しましょう。

3.4 手続き方法と支給までにかかる時間

高額療養費制度を利用する場合、医療費の自己負担分を窓口に支払った後、後日お金の支給を受ける後払い方式の他に、事前に自己負担の限度額を計算し、「限度額適用認定証」や「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付を受けておくという方法もあります。

限度額適用認定証等があれば、窓口での自己負担額をその場で減らすことが可能です。

どちらの方法も、手続きには時間がかかります。

例えば、後払い方式は、支給までに、受診した月から少なくとも3か月程度かかります。

医療費の支払いの際に慌てることがないように、事前に準備しておきましょう。

4. まとめにかえて

病気やケガで、入院や手術が必要になった時、経済的な不安を抱えることなく治療に専念したいですよね。

高額療養費制度は、医療費の自己負担額を大幅に軽減することができる大変心強い制度です。

制度の概要や注意点をしっかりと理解し、ぜひ活用していきましょう。

参考資料

下中英恵FP事務所 下中 英恵