金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](2022年)」によると、「将来にわたりマイホームを取得する考えはない」と答えた方は、世帯主の年齢別に次のようになっています。
- 20歳代 18.4%
- 30歳代 21.6%
- 40歳代 39.3%
- 50歳代 44.1%
- 60歳代 51.9%
- 70歳代 52.4%
なお、地域別では北海道が52.4%で最も多く、次いで近畿42.1%、九州38.4%、関東38.2%と続いています。
マイホームの購入と賃貸とではそれぞれにメリットとデメリットがあるので、一概にどちらが良いとは言えません。
新年度を控えると、ライフスタイルの変化により「賃貸のままか持ち家か」悩む方が増えます。
しかし、それぞれのライフスタイルや暮らしやすさ、生涯コストなどを総合的に判断して、自分にとってどちらの方がよりメリットが大きいのかを考えることが大切です。
そこで本記事では、持ち家と賃貸のメリットとデメリットを改めて考えてみたいと思います。
1. 持ち家のメリット・デメリット
持ち家と賃貸の最も大きく異なる点は、住宅ローンの有無といって良いでしょう。
持ち家の場合の多くは住宅ローンを契約して長期間、毎月返済していく必要があるばかりでなく、定期的に建物のメンテナンス、リフォーム費用が発生します。
しかし住宅ローン完済後は、賃貸のように家賃を払い続ける必要はありません。
これに対して賃貸の場合には毎月家賃の支払いが発生しますが、持ち家と比較して家に関わる支出は少ないといって良いでしょう。
その他持ち家のメリットとデメリットには、次のようなものがあります。
1.1 持ち家のメリット
持ち家の主なメリットは次の6つです。
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家が自分の資産になる
持ち家は自分の資産になるので将来子供に残すことができ、いざという時には人に貸したり売却したりすることもできます。
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仕様や設備のグレード、住宅性能が高め
持ち家は賃貸住宅と比較して、一般的に仕様や設備のグレード、省エネ性・断熱性・耐震性といった住宅性能が高めであるといえます。
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自由に増改築・リフォームができる
購入後に家族構成やライフスタイルが変化しても、間取りや内装、外装、住宅設備などを比較的自由にリフォームすることができます。
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老後の負担が軽減する
住宅ローンを完済してしまえば老後は家賃の支払いもなく、将来住む場所に困ることはありません。
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住宅ローンの団体信用生命保険を利用できる
住宅ローンの債務者が死亡または所定の高度障害状態になった場合などに、保険金によって住宅ローンの残債を完済することができます。
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税制優遇制度を活用できる
住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合には、一定の条件を満たすことで住宅ローン控除を受けることができ、税金面で優遇されます。
1.2 持ち家のデメリット
次に持ち家の主なデメリットを紹介します。
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住宅購入の費用負担が大きい
土地の購入と建物の建築費ばかりでなく、諸費用や税金などの支払いがあり、賃貸と比較して高額な費用がかかります。
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固定資産税の支払いや火災保険料などがかかる
持ち家を購入後には固定資産税や都市計画税などの納税義務が生じ、また火災や自然災害に備えるための火災保険や地震保険への加入が必要になります。
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定期的に修繕・リフォーム費用が発生する
屋根、外壁などの定期的な修繕や住宅設備のメンテナンス、交換費用が発生します。
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気軽に転居することができない
万一、転勤や転職などで生活拠点が変わっても気軽に転居することができず、たとえ売却しようとする場合であっても希望の価格で売却できるとは限りません。
多額の住宅ローンが残っている場合には、売却しても債務が残ってしまうこともあります。