3. 老後資金を準備する方法
ここまでの内容から、二人以上世帯も単身世帯も、60歳代の平均貯蓄額は1000万円を超えていますが、より実態に近い中央値は二人以上世帯で700万円、単身世帯で300万円と数百万円にとどまっています。
老後は公的年金が主な収入源となる世帯が多いですが、もし年金だけで生活費が支払えない場合、貯蓄を取り崩すなどの対応が必要です。
また、介護が必要になったりバリアフリーにリフォームすることになったりするなど、まとまった出費が必要になることもあるでしょう。
そういった事態が起きても貯蓄で対応できるように、早いうちから老後資金の準備をしておくことが大切です。
3.1 積立預金をする
積立預金は、毎月決まった日にあらかじめ決めた金額を口座から引き落とすようにすることで、自動的に貯蓄ができる金融商品です。
積立金額や期間は自由に決められるものが多く、目標金額を目指すタイプもあるので計画的な貯蓄ができます。
引き落とし日を給与振込日に合わせると、残高不足を防げるうえ、自動引落なのではじめからなかったものとして生活費のやりくりができます。
3.2 NISAやiDeCoで資産運用する
低金利が続いており、預貯金では思うように資産を増やすことが難しい状況です。
もう少し積極的に資産形成をしたい方は、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの制度を活用して、投資に取り組むのも良いでしょう。
NISAは2024年1月から「新しいNISA」として制度が改正されました。
つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になり、年間投資枠はつみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円の年間合計360万円まで拡大されています。
また、非課税保有期間が無期限化されるなど、利用者にとってメリットの多い制度へと生まれ変わりました。
iDeCoも掛け金の拠出時や運用時、受取時それぞれにおいて税制優遇措置が設けられており、老後の資産形成に役立つ制度です。
ただし、いずれも制度を通じて投資を行うため元本保証ではない点に注意が必要です。メリットだけでなくデメリットも理解したうえで取り組みましょう。
※iDeCoでは定期預金を選択することも可能
4. まとめにかえて
20歳代〜60歳代の平均貯蓄額を見てきました。二人以上世帯・単身世帯ともに高齢になるほど貯蓄額が増えていきますが、平均額と中央値に大きな開きがあります。
より実態に近い中央値を見ると、十分な老後資金があるとはいえない状況です。
もちろん貯蓄額だけで判断できることではありませんが、まとまった出費が必要になるケースもあることから、ある程度の貯蓄があると安心です。
できるだけ早い年代から貯蓄することを心がけ、できることから始めてみましょう。
参考資料
木内 菜穂子