2. 厚生年金「手取り月額15万円」は多い?少ない?

厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は月額14万4982円(国民年金も含む)です。

ただし、これは額面金額であり、ここから社会保険料や税金が差し引かれます。手取り額は9割程になると考えると、実際に口座に振り込まれるのは約13万5000円となります。

手取り15万円受給できると、平均的な手取り額よりも1万5000円程多くなることから、受給額は多い方といえそうです。

しかし、厚生年金受給額は男女間や都道府県間で差があるため、手取り月額15万円を受給しているからといって、必ずしも多い方だとは言えないのが実情です。

2.1 受給額は男女で差がある

厚生年金の平均受給額は男性と女性とで大きな差が生じており、男性の平均受給額は女性より約5万9000円多くなっています。

厚生年金の平均受給額(男女)

  • 男性:16万3875円
  • 女性10万4878円

男女それぞれの手取り額は、男性が14万7000円程、女性が9万4000円程になると考えられます。

男性の平均手取り額は15万円に近い金額になるため、15万円受給している場合は平均的な金額といえます。

しかし、女性の平均手取り額は10万弱になるため、15万円を受給している方はほかの方よりも高額な受給額になっていることがわかります。

厚生年金は、現役時代の年収や厚生年金への加入期間などにより受給額が決まるため、出産や子育て、介護などで休職することの多い女性は、受給額が少なくなってしまうと考えられます。

2.2 都道府県によっても差がある

厚生年金受給額は、下表のように都道府県によっても平均額が異なります。

厚生年金の平均受給額(都道府県別)

  • 青森県:12万2134円
  • 東京都:15万7478円
  • 神奈川県:16万4088円
  • 大阪府:15万477円
  • 福岡県:13万9693円

たとえば、青森県と神奈川県とでは4万2000円程の差が生じており、手取り額では約3万8000円の差が生じる可能性があります。

神奈川県などは手取り15万円の場合平均的な金額となりますが、青森県や福岡県のように受給額が少ない県では15万円は多い方といえます。

都道府県ごとに差が生じる理由としては、平均年収が影響していると考えられます。

都市部ほど平均年収が高くなり、地方に行くほど低くなる傾向があることから、年収の高い都市部の方が厚生年金受給額も高額になる傾向があります。

3. まとめにかえて

厚生年金受給者全体を見ると、厚生年金で手取り15万円は平均的な手取り額よりも多いことがわかりました。

ただし、男女別に見ると受給額に差があり、手取り15万円は男性では平均的な金額ですが、女性にとっては高額な受給額であることがわかります。

また、都道府県間でも差が生じており、都市部になる程高額な受給額となっています。

このように、受給者によって状況が異なるため、手取り15万円が多いのか少ないのかは一概に言えません。

平均額やほかの人の受給額は参考程度にとどめて、ご自身が受給している金額で生活を成り立たせられるよう対策を講じることが大切でしょう。

参考資料

木内 菜穂子