2. 就職氷河期世代の親世代(70歳代)の貯蓄額の分布
70歳代の貯蓄額について、総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)詳細結果-(二人以上の世帯)」からチェックしていきましょう。
70代以上世帯の現在貯蓄高分布
- 100万円未満:14万896世帯(7.94%)
- 100万円~:6万4999世帯(3.47%)
- 200万円~:6万426世帯(3.22%)
- 300万円~:6万9205世帯(3.69%)
- 400万円~:6万2104世帯(3.31%)
- 500万円~:7万670世帯(3.77%)
- 600万円~:5万2589世帯(2.81%)
- 700万円~:4万9056世帯(2.62%)
- 800万円~:6万433世帯(3.22%)
- 900万円~:4万6408世帯(2.48%)
- 1000万円~:10万9329世帯(5.83%)
- 1200万円~:8万5755世帯(4.57%)
- 1400万円~:6万9842世帯(3.73%)
- 1600万円~:8万2145世帯(4.38%)
- 1800万円~:5万9305世帯(3.16%)
- 2000万円~:15万265世帯(8.02%)
- 2500万円~:12万1065世帯(6.46%)
- 3000万円~:17万7308世帯(9.46%)
- 4000万円~:33万4754世帯(17.86%)
70歳代の約4割以上が「老後2000万円問題」をクリアしています。また、1000万円以上の貯蓄がある世帯を含めると6割以上になります。70歳代は貯蓄ができている傾向にある年代と言えるかもしれません。
ただし、100万円前後の貯蓄しかない世帯が1割程度あることや、世帯によって貯蓄額にばらつきがあることも忘れてはいけません。
一概に、就職氷河期世代は実家が太いとは言い切れないでしょう。
3. まとめにかえて
親の介護が本格的に始まる就職氷河期世代はここ数年で急増していくと見込まれています。
非正規で働く子どもの中には親を介護施設に入れる余裕がなかったり、介護と仕事の両立が難しかったりするケースも多々あります。
就職氷河期世代の親世代にあたる70歳代の貯蓄額は多い傾向にあります。しかし、親に十分な貯蓄額がなく、かつ子どもも不安定な雇用形態の世帯も珍しくありません。
就職氷河期世代やその親世代が安心して暮らすための仕組みや制度を整えることが急速に求められているのです。
就職氷河期世代の中には社会に絶望している人が少なくありませんが、今が彼らが抱いているわずかな期待に応えるチャンスと言えるかもしれません。
参考資料
西田 梨紗