50歳代になると老後資金の準備を本格的に考え出す方が増えることでしょう。
資金形成方法にはいくつかありますが、税制優遇措置のある「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」もそのひとつです。
しかし、掛け金の拠出年齢に制限があることから、50歳から始めてもメリットがあるのかわからない方もいるでしょう。
そこでこの記事では、50歳代からiDeCoを始めるメリットや注意点などについて解説していきます。
1. 50歳代からiDeCoを始める3つのメリット
50歳代からiDeCo(イデコ)を始めるメリットとして、3つの税制優遇措置があることや掛け金の拠出年齢が延長されたこと、資産の持ち運びができることが挙げられます。
1.1 3つの税制優遇措置がある
iDeCoには掛け金の拠出時・運用時・受取時の3つのタイミングで税制優遇措置が設けられています。
【拠出時】
iDeCoの拠出金は全額が所得控除の対象になるため、年末調整や確定申告の際に「小規模企業共済等掛金控除」として申告すると、所得税や住民税の支払い負担が軽減します。
たとえば、毎月2万円ずつ拠出(年間24万円)した場合、所得税・住民税が合計20%と仮定すると4万8000円節税できます。
【運用時】
一般的に、投資信託などで運用益が出た場合、20.315%の税金(所得税・復興特別所得税・住民税)がかかりますが、iDeCoで生じた利益は課税されません。
税金が差し引かれないため資産を増やしやすく、利益を含めた金額が再投資されるので複利効果が期待でき、効率的な資産形成が可能です。
【受取時】
iDeCoの受け取り方法には「年金」や「一時金」、「年金と一時金の併用」の3つの方法があり、いずれも税制優遇措置が設けられています。
具体的には、年金で受け取る場合には「公的年金控除」が適用され、一時金として受け取る場合には「退職所得控除」が適用されます。
1.2 掛け金の拠出が65歳まで可能になった
iDeCoが開始された当初は、掛け金の拠出ができるのは60歳まででした。
しかし、2022年5月1日から加入年齢が65歳までに拡大され、さらに長い期間の拠出が可能になっています。対象になるのは以下の方です。
- 会社員や公務員などの第2号被保険者で65歳未満の方
- 国民年金に任意加入の60歳以上65歳未満の方
- 国民年金に任意加入の海外居住の方
50歳からiDeCoを始めた場合、従来は最長10年間しか拠出できませんでしたが、現在は最長15年間の拠出が可能なのです。50歳代から始めても決して遅くはないといえるでしょう。
1.3 資産の持ち運びができる
50歳代になるとライフスタイルが変化する方も多くなると考えられますが、iDeCoには資産を持ち運べる(ポータビリティがある)という特徴があります。
転職して勤務先が変わる、退職して自営業・個人事業主になる、または専業主婦(主夫)になるなど状況が変化しても、iDeCo加入者として拠出し続け資産運用することが可能です。