3.3 60歳代「おひとりさま」世帯の住宅ローン残高
個人の借入金として金額が大きい傾向にある住宅ローンの残高について見ておきましょう。
先ほどと同じ調査で借入金残高があると回答した方のうち、住宅ローン残高は以下のとおりです。
《住宅ローン残高》平均146万円・中央値0円
- 50万円未満:0%
- 50~100万円未満:0%
- 100~200万円未満:3.1%
- 200~300万円未満:0%
- 300~500万円未満:3.1%
- 500~700万円未満:1.6%
- 700~1000万円未満:1.6%
- 1000~1500万円未満:3.1%
- 1500~2000万円未満:0%
- 2000万円以上:3.1%
- 0または無回答:84.4%
60歳代おひとりさま世帯の住宅ローン残高は平均146万円です。
しかし、1000万円以上の残高がある人も約6%います。
近年は60歳以降も住宅ローンの返済が続いている方は珍しくありません。
これから受け取る退職金で完済を予定している方、あるいは団信を考慮して返済を続ける人もいるでしょう。
しかし、老後に受け取る年金収入は決して十分とはいえない金額です。できれば年金暮らしが始まる前に、住宅ローンを始め、負債は解消しておけると良いでしょう。
4. 60歳代「おひとりさま」世帯の老後の収入はいくら?
一般的に、老後生活における収入の柱となるのは公的年金でしょう。
近年はシニアが働く環境が増えていますので、年金をもらいながら働く、あるいは繰下げ受給により年金額増額を待つ間バリバリ働くなど、65歳以降の過ごし方は様々な選択肢があります。
とはいえ、老後は仕事から解放されゆっくり過ごしたいという方もいるでしょう。健康面や体力面を考慮すればずっと働くことが難しい場合もあるかもしれません。
では、国民年金や厚生年金などの公的年金は、毎月いくらぐらい受け取ることができるのでしょうか。
厚生労働省年金局の資料をもとに確認していきます。
4.1 シニア世代の老後の収入(平均月額)
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金・厚生年金の受給額の平均月額は以下のとおりです。
【国民年金の平均月額】
- 男女全体:5万6316円
- 男性:5万8798円
- 女性:5万4426円
【厚生年金の平均月額】※国民年金(老齢基礎年金)を含む
- 男女全体:14万3973円
- 男性:16万3875円
- 女性:10万4878円
国民年金の平均月額は男女ともに5万円台。厚生年金の平均月額は男女ともに10万円以上となりますが、男女差は約6万円もあります。
厚生年金は現役時代の給与や賞与などの報酬と年金加入期間により決定するため、男女差だけでなく大きな個人差も見られます。
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の年金見込額を把握し、貯蓄で不足分をカバーできるよう、現役時代から準備をしておく必要があるでしょう。
5. まとめにかえて
本記事では、60歳代「おひとりさま」世帯の貯蓄額・負債額と、年金月額を確認してきました。
老後に向けてさまざまな不安があるかもしれませんが、経済的な不安はできるかぎり解消しておきたいものです。
老後にいくら必要か、どのくらいあれば安心できるのかは人それぞれです。
ご自身の現状を把握し、年金減少、物価上昇、高齢による医療費負担、介護費用の可能性などのリスクをふまえ、老後に向けて少しずつ準備を進めていきましょう。
参考資料
和田 直子